如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

日本人も長期休暇を取得しよう。観光活性化で機会損失は挽回可能

日本人とフランス人「休み方」はこんなにも違う(東洋経済オンライン)

佐々木 くみ : 執筆家、イラストレーター / エマニュエル・アルノー : 小説家

 

 フランス人がバカンスで長期休暇を活用していることは広く知られているが、多くの日本人は「そんなに休んで会社の業務や業績に影響しないのか」という疑問を持つ人が私を含めて結構多いように思う。

 

 この疑問に答えてくれる記事「日本人とフランス人『休み方』はこんなにも違う」が8月2日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事はフランス人のバカンスの過ごし方や他の欧州国との違いなどを紹介しているが、もっとも参考になったのは、「長期のバカンスで観光地の産業が活性化し、GDPの損失を補っている」という指摘だ。

 しかも世界各国に観光地の情報発信をすることで、世界中から観光客を集めるという実に抜け目のない戦略も実行している。

 

 それに対して日本人は、最近でこそ育児休暇やリフレッシュ休暇などの制度が認知されるようになり、休むことへの抵抗は多少薄らいできたが、何週間も連続で休むなどというのは普通の会社ではありえない話だろう。私自身「勤続20年表彰」で一週間休みをもらった程度だ。

 

 これはフランス人が「休暇」に特別な意識を持っているというよりは、十分に休むことで仕事ととのバランスを重視し、人生を「より充実したものにすべき」という発想によるものではないだろうか。

 

 日本にも地方を中心にまだまだ魅力的ながら知られていない観光地・観光資源は多いはずだが、外国人や富裕層を満足されるような施設の充実した宿泊施設が整備されていない。これでは観光客を誘致するのに無理がある。

 これは東洋経済オンラインの過去の記事「中国人が山ほど金使う「日本観光」の残念な実情で読んだ内容だが、中国人の富裕層は「1週間程度の滞在で、1人当たりの消費支出は平均200万~300万円にも達する」そうだ。

 

 要するに、内外からお客さんを呼び込んで観光業を発展させれば、国民の休暇取得による機会損失は十分に挽回できるはずなのだ。

 

 これに関しては別の側面から個人的な「支援策」を提案したい。

 それは小中学校の生徒に年間一定日数を出席扱いにする「休暇」制度を導入するというものだ。この発想自体は過去にも言われていることだが、夏休み、冬休みに休暇が集中するから観光地が混み、交通機関が混雑し、滞在費用が高くなるのである。

 

 観光地は平日は客が少ないのに、従業員を雇用する必要があるので、その分を取り戻すために休前日などの宿泊代金を思い切り高く設定せざるを得ない。

 

 これが平日にも家族連れが来るようになれば、従業員の負担の仕事量も分散し、売り上げは週を通じて平準化するので利益率も上がる。観光地、交通機関の混雑も解消する。

 

 義務教育制度を盾に取って、文部科学省は大反対するだろうが、ここは官邸主導で何とか実現の目途を立ててほしい。自由に休暇が取れて、費用も安くなり、混雑にも悩まされないとなれば国民の理解も得られるはずだ。

 

 「休暇取得で生産性が落ちるのでは」という意識を「休暇の取得で観光業を活性化する」というプラス思考にそろそろ転換してもいいのではないだろうか。