「社員が休まない会社」が抱える根本的な問題(東洋経済オンライン)
岡本 祥治 : みらいワークス社長
政府主導の「働き方改革」が注目され、認知度と普及が進む中、経営者視点から見た「休み方改革」のアドバイスを解説する記事「『社員が休まない会社』が抱える根本的な問題」が9月12日付けの東洋経済オンラインに掲載された。
著者は、新卒でコンサルティング会社に就職、その後ベンチャー企業に転職、独立して会社を立ち上げている。
休暇の取り方も、一定期間集中して働いてその後長期休暇というパターンから、常に朝から夜中まで働くというスタイルになったが、社員の規模が15人ほどになった段階で、家族を持つ社員もいることで休暇取得の重要性を再認識したようだ。
この会社でも年末年始やお盆の休暇推奨や「ノー残業デー」などを設定したが、どこ会社でもあるように「休暇よりも仕事を優先したい」という人はいて、強制的な休暇取得に反発を感じる人もいるようだ。
特に若い世代を中心に、仕事を自分で回せて、結果が評価される面白みを実感できるようになると、休みを取りたいとは思わなくなるし、休んでも結局自宅で仕事をしてしまうので、休暇の意味がなくなる。これは自分の経験だが、20代の半ばころにはタイムカード上は「有給休暇」として、実際は会社にきて仕事をしていたこともあったので、彼らの気持ちは理解できる。
ただ長い目で見ると、仕事一筋で長い期間務めていると、休む習慣が薄れて肉体的、精神的に悪影響が出ないとも限らないし、何より「仕事」と「休暇」の区別というメリハリを付けることは、長い会社務めではとても重要になると思う。
特に新しいアイディアや企画などは、仕事に集中している時よりも、休暇中にのんびりと別なことをやっている時に、ふと思いつくことが多いというのが実感だ。
記事では、「休みを取りたがらない理由には、『他人に迷惑をかける』『自分がいないと仕事が回らない』などがあるようだ。しかし、実際はそんなことはない」としているが、その通りである。
自分がいないと仕事が回らないなどというのは、「自信過剰」に過ぎない。仮に支障が生じるのであれば、それは経営側の組織運営のミスである。
結論は記事にもあるが、価値観の多様化で「テレワーク」「正規・非正規の格差解消」「個人事事業主の増加」など働き方改革が進む中で、休み方も「まとめて長期」「毎月一定の期日」のように「強制ではなく、自ら選択する」という多様化が進むのだろう。
個人的に以前から言っているのだが、小中学校の「出席扱いの休暇制度」を導入すれば、家族旅行が夏休みと年末年始に集中することも少なくなり、この時期渋滞する高速道路や高騰する交通・宿泊費用も安くなるはずだ。
観光施設側にとっても、混雑が解消されるし、顧客が年間を通じて平準化するメリットがある。
文部科学省は「義務教育」を盾に猛反対しそうだが、年間に数日休んだところで、どれほど教育に悪影響があるのか。官邸主導でどうにか実現してほしい。
「働き方改革」と「休み方改革」は表裏一体の関係にある。現在は「働き方」に関心が集中しているが、「休み方」にももっと注目が集まってもいいはずだ。
折しも11日の内閣改造で環境大臣に就任した小泉進次郎氏は、年明けに「育児休暇」を取得するとの報道もされている。
このように政府のトップが率先して、休暇を積極的に取得することで、民間への波及効果が出てくるのであれば、ぜひとも歓迎したい。