如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

女性が「住みたい」街は「住めたらいいな」では?

新築マンション情報誌SUUMO 2019.11.12号

 

 本日発行された駅ナカの無料住宅情報誌SUUMOの東京市部・神奈川北西版では「女性が住みたい街トップ100」が特集記事となった。

 

 ちなみに首都圏版の特集は「2020年人気が出る街ランキング」で、この2つの地域版で表紙の見出しが、ここまで大きく変わるのは過去に見たことがない。

 顧客の関心度に配慮した結果なのだろうが、首都圏版の方が掲載物件は多いこともあって、東京市部・神奈川北西版の「女性が住みたい街トップ100」の記事の一部も掲載されている。

 

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 今回は、SUUMOとしてはおそらく初めての企画と思われる「女性」に特化した東京市部版のランキング記事を取り上げたい。

 

 このランキングは、毎年SUUMOが調査している「住みたい街ランキング」から女性票だけを集計したもので、関東圏の2049歳の女性3402人が調査対象となったと記載がある。

 

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女性が住みたい街ランキング

 記事ではランキングの上位について、「上位の街は華やか。共通点は“グルメ&ショッピング環境が充実”し、“住宅街に近くおしゃれ」としたうえで、「女性は治安、教育、自然など、暮らしを”守る“街選びをするのに対して、男性は将来の資産価値など”攻め“の街選びをする傾向にある」と女性の住宅ライターが解説している。

 

 今回のランキングについて個人的な感想を言えば、「住みたい」という要望よりは「住めたらいいな」という願望に近いような印象を持った。

 

 例えば、上位3位は「横浜」「恵比寿」「吉祥寺」が占めているが、これらの街は「華やか、グルメ、ショッピング環境が充実」していることは確かだが、「住宅街に近い」というのはどうだろうか。

 この3駅の近くにファミリー向けのマンションが十分に供給されているとは思えない。単身者向けのワンルームはそれなりにあるかもしれないが。

 

 つまり「イメージ先行」で憧れの街に住めたらいいな、という感覚なのではないか。これは4位の目黒、8位の中目黒、10位の新宿にも当てはまる。

 

 5位の「鎌倉」は私自身も住んでみたい気持ちはあるが、巷の評価では観光客で溢れかえって住みにくいという意見も多いし、6位の「武蔵小杉」はタワマンの住宅開発が一気に進んだが、通勤時間帯の駅の混雑は広く知れ渡ることになった。どちらも住環境が良いとは言い切れないだろう。

 

 また、ベスト10を見て意外に感じたのは、東京都が5つにとどまり、神奈川県が3つ、埼玉県が2つと人気が分散したこと。

 特にランキングの上位に「大宮」(7位)、「浦和」(9位)が入ったのは意外だった。どちらも東京に近く、都市機能が充実していることが評価されているのだろう。

 これは偏見と言われても仕方がないのかもしれないが、私のイメージとしては「大宮」は競輪の東日本発祥の地だし、「浦和」にも競馬場がある。まあ最近の女性はギャンブル施設にあまり抵抗はないのかもしれないが。

 

 記事では住宅ライターが、「女性が暮らしやすい街の特徴」として、「多世代共存」と「生活効率がいい」ことを挙げている。

 

 詳細は記事を読んで頂くとして、ランキングの順位とは別に、女性ならではの視点から「街」を検証している点では興味深かった。

 

 SUUMOはその無料情報誌という性格上、不動産業者寄りの記事にならざるを得ない面があるのはしたかがないとは思うが、今回のように編集部の工夫次第で新たな切り口のランキングや記事を掲載したことは評価したい