ギャンブル依存症、パチンコなら実機を購入して自宅で遊ぶ手も
日本には、ギャンブル依存症の疑いがある人は、男女あわせると推計320万人で、成人の3.6%におよぶ。カジノ大国といわれる米国やオランダの1.9%を抜き、世界でもダントツに高い数字――ギャンブル依存症の実態と対応策に関する記事「高収入エリート夫が自己破産…自覚なく進行するギャンブル依存の恐怖」が1月1日付けのダイヤモンドオンラインに掲載された。
新年早々、何とも暗い話で恐縮だが、成人の3.6%という数字はバカにはできない。100人規模の会社であれば、4人ぐらいは依存症の疑いがあることになる。
記事では、ギャンブル依存症の疑いがある人の中で、「パチンコ・パチスロが中心」と答えた人は約8割にのぼる、と書かれているが、パチンコ・パチスロの店舗自体は出玉規制の強化などもあって長期的に減少傾向にあるので、コアなファンが大金をつぎ込んでいるのだろう。
公的なギャンブルである競輪、競馬などの比率が低いのは、パチンコ・パチスロが通勤途中の駅チカなどにあって、手軽に立ち寄れるという立地が影響していると思われる。
ギャンブル依存症については、過去にも「ギャンブル依存症の引き金、「ビギナーズラック」が危ない」としてダイヤモンドオンラインで取り上げているが、この記事では厚生労働省の調査として「男性のおよそ9人に1人は依存症の傾向がある」と書かれている。
依存症になる原因はすでに判明していて、ドーパミンという脳内の快楽物質。「耐性」や「禁断症状」などを引き起こし、他の依存症と同じように「囚われの身」となってしまう。
治療方法は、他の依存症と同じように専門治療施設や民間施設で行っている「認知行動療法プログラム」や「自助グループGA」などだ。
どちらも自分一人では解決できないことを前提にしている。それほど治療がやっかいな「病気」なのだ。
ちなみに私はパチンコ・パチスロの店舗にすら行ったことはないのだが、実際にパチンコをやらずに「あれこれ言うのは無責任」だと感じていたので、いろいろ考えた末に、数年前にYahooオークションで売られているパチンコの実機を購入してパチンコを数日間集中的に遊んでみた。
ちなみに私が購入したのは「ルパン3世」という台の中央に液晶画面のある機種で、パチンコ玉が4000個、正面のガラス盤を開けるカギも付いていた。価格は交渉の結果送料込みで1万円だった。
さて、商品が届いた当日は「かなり重い」実機を自室に運んで、電源をつなぎ早速遊び始めた。確かに正面の動画が動いて、様々な演出があって、絵柄がそろって「当たり」となった時の「興奮する」という感覚は何となく理解できたような気がする。
ただ、感じたのは「パチンコ玉を打っている」というよりは「くじを引いている」というもので、しばらくするとハンドルを握って画面を見るだけと言う単純な作業に飽きてしまった。
「当たり」が出やすくなれば面白くなるのではないかと思い、ガラス盤を開けて釘の間隔を広げて、球が入りやすくして遊んでみたが、これは完全な逆効果だった。
ほぼすべてのパチンコ玉が入賞穴に入ってしまうので、今度はスリルが感じられないのである。正面の画像は回りっぱなしで、大当たりの回数も激増して、思い切り「つまらなく」なってしまった。
という訳で、実質3日、合計で10数時間ぐらい遊んだら飽きてしまったので、届いたときの梱包状態に戻してYahooオークションで売却、送料着払いで約1万円で売ることができた。
以上の経験をもとに言えるのは、パチンコを実際に経験して楽しんでみたいと思うなら、パチンコ屋に行くよりも安く済むということ。友人の話では一回の投資額が1万円ぐらいになることは珍しくないそうなので、2,3回行けば数万円になってしまう。しかもビギナーズラックをきっかけに依存症にかかる危険性もある。これではパチンコを「体験」するには、おカネもリスクも大きすぎる。
今回の私の経験では、最初の実機購入への投資額1万円は、遊んだあとすぐに売却したことで同じ市場価格で売れたので、かかった費用はほぼゼロ。しかもパチンコの内部の仕組みを確認したり、釘を操作するという通常ではできない行為まで実践できたし、想像以上に「単純作業な遊び」だということも学んだ。Yahooオークションでは、今でもパチンコやパチスロの実機が数千円から購入できるようだ。
あえて人様にパチンコを推奨する訳ではないが、実態を何も知らずにただ「パチンコ悪玉論」を振りかざすのは、ちょっと説得力に欠けるようにも思う。やり方次第でおカネをかけずに「パチンコとは何か」を知る方法があるのだから。