如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

「情報弱者」の行きつく先にあるのは「死」

 

情報だけ武器にしろ。: お金や人脈、学歴はいらない

 堀江 貴文

2019年3月30日

 過激なタイトルで恐縮だが、著者の言いたいことを突き詰めればそういうことだ。
 
 要するに積極的に「情報」を取りに行かないと時代に取り残されて、社会的にも肉体的にも「貧困」を招く
ことになり、その結果「死」に至るということだ。

 具体的にはp53で、生活保護など経済的に厳しく追い詰められていても、大手キャリアのスマホに一家で月
額数万円の出費に苦しむ家庭は、格安スマホの存在を「知らない」か「面倒でやらない」のいずれかだろう、
と指摘。受け身の姿勢が社会的貧困の理由だとしている。

 また、「情報だけで死は防げる」(p186)の項にあるように、
簡単に取得できる予防医学の知識を得るだ
けで、寿命は確実に伸ばせるにも関わらず知ろうとしない。

 どちらの例を取っても、手を伸ばせば簡単に手に入る「情報」に対応する気がない点は共通で、社会的にも
身体的にも結果として「寿命を削る」ことになっている。

 こうした人たちについては、自身でコントロールできない社会的な環境の影響も受ける「弱者」というより
は、単に必要な努力をしない単なる「怠け者」ではないか、とも個人的には思えるのだが。
 
 また、情報との関わり合いについて著者は、ネット全盛の今の時代、あらゆる情報はタダ同然で「入手」す
ることができるとし、これを何らかの形で「出力」することが、一段と重要なスキルになると説いている。

 本書では情報の入手を「インプット」と称し、シャワーのように浴びることが重要で、自分とは反対の意見
に触れ、あえて「ノイズを入れる」(p46)ことも必要だとする一方で、「クソ情報をスルーする力も不可
欠」(p193)としている。

 個人的には、ここでは単に「インプット」というよりは、情報への積極的な「アプローチ」と、価値判断を
伴った「取捨選択」という方が正確な表現だろうとは思う。

 また、「アウトプット」することの重要性に異論はないが、そこには情報の「読解力」「発想力」「表現力」
が欠かせないはずだ。インプットした情報を、そのまま受け売りで「垂れ流す」のでは意味がないのである。

 この「力」を言うと、「才能がない」「時間がない」などの言い訳が聞こえてきそうだが、どちらも「継続」
と「工夫」である程度はカバーできるはずだ。肝心なのは著者が指摘するように「頭の中のアイディア」に留
めず、「中途半端でも行動」に移すことだろう。

 堀江氏の著書は、ほとんど読んだことはないが、コラムや対談などはよく拝見する。おそらく「常識を疑
い、自分の頭で考えろ」という主義・主張は変わっておらず、本書で既読感を覚える人は多いだろう。

 これは推測だが、堀江氏の著作を何冊も買ってその内容に共感、満足している人は、そろそろ「購読」から
「実践」に行動を移す段階に来ているのではないだろうか。

【追記】
 健康に関する項で、世間的には健康食品とされる「納豆」が著者は好きではないらしい。納豆を執拗に勧め
てくる元嫁との「離婚の原因の5%くらいは納豆にある」(p184)という内容は笑えた。