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中小企業を買い取り経営するという生き方、人生後半の選択肢になりうるか

 

サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい

2018年4月20日

 後継者不足に悩む中小企業を買い取って経営に参加、役員収入と引退時の会社売却による利益で、サラリ
ーマンの人生後半の資産確保を提言する本である。

 読んだ感想を簡単に言えば、「会社買収というのは想像していたよりもハードルは低いようだが、成功する
可能性のハードルは高そう」となる。

 筆者は、黒字でも後継者がいないため廃業を考えている中小企業は多く、昔は身売りは信用問題に関わるの
で極秘事項だったが、現在はいわゆる「売り」に出されている企業へのアプローチや情報収集は容易になった、
としており、ネット上で匿名ながら対象企業の業態、規模、売却理由などは把握できるようになっているそう
だ。 損益トントンの会社なら数百万円で買えるらしい。

 とはいえ、いきなり会社を買い付けてもそこに勤める従業員が納得するかは疑問であり、筆者も「現社長の
下で2年間は専務として共同経営を行い、会社組織や取り巻く環境を理解することが必要」としている。

 ここで疑問点が2つ。まず、この買った会社での2年間を今勤めている会社とどう折り合いをつけるかだ。
辞めるのであれば問題はないがリスクが大きく踏み切れないケースも多いはずだ。当然副業が禁じられている
ことも多いだろうし、そもそも「他社と兼務」で乗り込んでくる「外様の専務」が従業員からどれだけ信頼され
るのか、という点。もうひとつは、仮に事業が回復軌道に乗り始めた場合、社長が心変わりして会社売却を翻
意(身内に譲渡など)する可能性だ。

 後者は契約で縛れば何とかなるのかもしれないが、相手は事業をイチから育てたオーナーでありプライドは
高いはず、当然高齢で頑固でもあり合理性や常識がそのまま通用するかどうかは不透明感が拭えない。
 
 現実的には、50歳台後半までに情報収集して、「これは」と見込んだある企業数社にアプローチ、「行けそ
うだ」と思ったら定年と同時に経営に参加というのが「あえて言えば」無難なような気がした。もっとも自分
の特性にあった会社が、手ごろな値段で、適当な時期に見つかるかは運任せの部分も大きいし、運悪く「実は
手に負えない会社だった」というリスクも十分にある。

 ただ筆者が指摘するように、サラリーマンがまず候補に挙げる「ゼロからの起業」や「飲食業界への新規参
入」は『絶対に失敗する』というのは間違いなさそうなので、自営業や脱サラ飲食店を考えるくらいなら、「
業績面では問題はないが、後継者難で廃業を考えている中小企業」に資本・経営参加するというのは、人生後
半の選択肢として「アリ」かとも思った。