如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

QBハウスには本当に「敵」はいないのか

QBハウス、1割値上げでも客数減“起きず”大幅増益…低価格&高い技術で「敵が不在」状態(Business Journal ビジネスジャーナル)

佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

 

 ヘアカット専門店「QBハウス」が値上げしたにも関わらず、客離れが起きず業績は絶好調という状態を紹介する記事「QBハウス、1割値上げでも客数減“起きず”大幅増益…低価格&高い技術で『敵が不在』状態」が10月5日付けのBusiness Journal(ビジネスジャーナル)に掲載された。

 

 記事では、今年2月に税込み価格を1080円から1200円へと約1割も引き上げたが、値上げ直前の6カ月の前年同期比(2.7%増)を、2月以降は毎月最低でも同7%増と大きく上回る状態が続いているという。

 

 焼き鳥チェーンの「鳥貴族」や天丼チェーン「てんや」が同様に値上げをした結果、今年8月まで客数や売上高が長期にわたって低迷しているのとは対照的だ。

 常識的には、値上げはマイナスのインパクトが強いので、値上げ直後から逆に売り上げ増加が続くというのは異例の事態とはいえるだろう。

 

 記事では、

              ・1000円台前半でカットできるところはかなり少ない

              ・駅周辺や商業施設内など好立地の店舗が多い

              ・東証1部に上場するなど高い知名度を獲得

 を理由として挙げ、「代替となる理美容室は少ないので、QBハウスの差別化の度合いは高い」と分析している。

 

 また、独自の従業員育成ノウハウによる「高い技術力」が強みなうえに、その技術も習得するのに一般的な理美容室では2~3年かかるところを、わずか「6カ月で習得」できるという効率性も奏功している、としている。

 

 ただ、記事では「価格」「立地」「知名度」などを差別化の主因として紹介しているが、QBハウスのWebサイトを見ると、同社のアピールポイントはやや異なるようにも見える。

 というのも、サイト最上段の一番左にある「QBハウスとは」を見ると、まず目に入るのは「10分へのこだわり」という「時間」をアピールしている。次に紹介しているのは「衛生面へのこだわり」だ。

 

 要するに「安さ」「身近」よりも、「短時間」「きれい」をウリにしているのである。

 しかもサイトでは「新しいカットのご提案」として、「髪型を極端に変えることなく個性あるベストスタイルを維持するため・・・月に2回は是非ご利用ください」と提案している。

 ちなみに私自身が理容室に行く頻度は、2カ月に1度が基本だ。これは少ない方だと思うが、毎月1度というのが平均的だとすると、月2回来店してもらえれば、売り上げは2倍になる。

 もっとも、これはあくまでQBハウスの「提案」であり、実際に2回行くような「髪にこだわりのある人」はお気に入りの担当者がいる「より高い美容室」を利用するとは思うが。

 

 記事では最後に、競合する同業が見当たらないとして「1000円台中ごろまでであれば、値上げは大丈夫ではないか」と結論付けている。

 

 ここからは私の見解だが、1000円台中ごろへ現状のままのシステムで値上げをした場合は、売り上げへの影響は小さくないと思う

 というのは、私の住んでいる都心からやや離れた郊外では、1500円から1800円ぐらいで「シェービング」「シャンプー」に加え、簡単な「肩もみ」まで含まれたフルサービスを売り物にしている理容室が、駅近くに数件はある。

 

 従業員が多く分業が進んでいるので時間も30分程度だし、混雑度、清潔感もQBハウスと大差ない。同じ価格ならフルサービス店を選択する人も多いと思う。

 

 加えて言えば、「シェービング」は自分でできるとは言っても、額やまぶたなど目の近くはプロに任せた方が安心だろう。少なくとも私は「まぶたを自分で剃ろう」とは思わない。

 

 一方で、今後も長期低迷が続きそうなのがいわゆる「街の床屋さん」だ。どっしりとした安定感のある椅子に、バリカンを使わずにハサミでの調髪、店によってはシャンプーが二回もあって、時間もたっぷり一時間はかかる。価格も4000円台が多いと思う。はっきりいえば「時間とおカネのある人」しか利用しないだろう。

 

 こうした昔ながらの理容室を利用するのは、もはや近所の「おじさん」といった高齢者ぐらいだろう。顧客がQBハウスなどに奪われているので、この先回復も見込めない。

 それでも営業を続けられるのは、一般的な小売店などと違って「在庫」負担がないためだろう。よくある自宅の一階を店舗にすれば賃貸料もかからない。コストの大半を自分の人件費が占めているので、その他の固定費比率が低いことは逆に「強み」ではある。

 

 以上、理容室業界の先行きを展望すると、QBハウスが値上げをすれば勢いは止まり、フルサービスの低価格店が見直される一方、昔ながらの床屋は細々と生き残る、ということになると思う。

結婚に「感性」も重要だが、やはり「相性」が大事かと

42歳女性が「結婚恐怖症」をついに克服したワケ(東洋経済オンライン)

大宮 冬洋 : ライター

 

 第一印象や感性というか、その場の雰囲気で4カ月で結婚を決めたが1年で離婚、その後10年後に再び縁が訪れたが、今度も会って7カ月で結婚するという2度の「スピード婚」の経験者を紹介する「42歳女性が『結婚恐怖症をついに克服したワケ」が10月4日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事自体は、「こういう結婚スタイルもあるのだなあ」と思われるいつものパターンなのだが、今回はその内容というか女性の行動パターンが極端で、不謹慎かもしれないが、読んでとても面白かった。

 

 タイトルには「結婚恐怖症を克服」とあるが、内容は「克服」というよりは、結果として「良縁」に恵まれたと言った方が正しいかもしれない

 というのも、女性のコメントでは、最初の結婚は「28歳という年齢で焦っていたので、このへんで手を打とう」とか、結婚には至らなかったものの二度目のお付き合いでは「結婚の失敗を男性経験の少なさを理由に、チャラい人」を狙うとか、二度目の結婚では「最初はウザくて無理と思ったが、リズム感が似ていて」半年で結婚を決めるなど、よく言えば「自由奔放」というか「感性重視」、悪く言えば、「思慮不足」「見通しの甘さ」が際立っているのだ。

 

 本人は「またしてもスピード婚です。私は反省が足りないのでしょうか……」という認識はあるようだが。もっとも、結婚にただ一つの正解がある訳ではないし、感性や第一印象で結婚したカップルが成功する例も少なくないだろう。

 

 彼女の結婚歴についてあえて、コメントするとすれば、適齢期という思い込みとか、反動でチャラい男狙いとか、あまり結婚後の実態(共同生活)を意識していない点はあるのかもしれない。

 

 二度目の結婚がうまくいったのは、記事にもあるが、夫が「学歴」、妻が「結婚の失敗」という「自信のなさ」を理解しあって、結果として「すごく大変だった」という最初の一年間を乗り切れたことの成果だろう。言うまでもないが、理解しあえるというのはお互いの「相性の良さ」が根底にあるからだと思う。

 

 ということで彼女のこれまでの経緯を見ると、結婚が成功したのは彼女の「結婚前の行動体系」が変化からではなく、「結婚後の相手への接し方」が変わったためではないか。

 

 3組に1組は離婚するという現状では、最初の結婚で納得して最後まで添い遂げるというこれまでのスタイルから、離婚、再婚は「ごく自然なこと」という認識に社会が急速に変化してきている。

 

 直接の関連性はないが、仕事の世界では、新卒で採用されそのまま定年まで終身雇用という「慣例」は、もはや過去の遺物になりつつある。結婚の世界でも同様の展開が起きる可能性は高い。

 

 ただ重要なのは、どちらも前歴を生かして「人生のステップアップを図る」という意識だろう。もちろんこれは相手や自分の年収アップといった金銭面だけの話ではなく、視野や経験を広げるという意味合いの方が大きい。

 もちろん「相性」あってのステップアップであることは言うまでもない

海賊版サイトは「論外」だが、電子書籍版の値下げも必要

続く無断投稿「漫画村」はなぜ繰り返されるのか(東洋経済オンライン)

大塚 隆史 緒方 欽一 : 東洋経済 記者

 

 漫画の違法アップロードを行う「海賊版サイト」の最近の動向を解説する記事「続く無断投稿『漫画村はなぜ繰り返されるのか」が10月3日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 「漫画村」元運営者の逮捕や、漫画「進撃の巨人」を動画に変換して投稿する事例、運営者への損害賠償などの事件を紹介している。

 記事によれば、違法アップロードがなくならない理由として、視聴中に入る広告によって半年で2000万円を稼いだ事例や、違法アップロードよる単行本の売り上げ減少が1アカウント当たり1億5000万円以上に達したケースもあったそうだ。

 

 数年前まで野放しだったこうした「海賊版」サイトだが、摘発逃れの温床になっていた海外サーバーを利用する手口も、運営者へのアクセスログの開示請求などで通用しなくなったうえ、漫画村とは別の有名な海賊版サイトの運営者には、懲役2年4か月から3年6か月の実刑判決が出るなど、違法サイトの運営が追い詰められているのは間違いない。

 

 私自身は、海賊版サイトを見たことも、利用したこともないので、ブログで書いてもあまり説得力はないのかもしれない

 ただ、記事にある違法アップロードをする人には「自分の好きな漫画を多くの人に知ってほしいというファン心理」があるという考え方は理解できない。「知ってほしい」という感情はまだしも、その違法行為が「売り上げ減」という作者の不利益につながり、結果として応援しているはずの作者を苦しめているという事実には考えが及ばないのだろうか。

 もっとも大半の運営者は 記者が指摘しているように、広告収入が目当ての悪事と知った上での不法者なのだろうが。

 

 では、「あらすじ」を紹介するのは問題ないのかというと、そう単純な話でもないらしい。

 記事では、後半で「あらすじをブログで紹介し、有料サイトへのリンクでアフィリエイト収入を得ると、著作権上の問題になる可能性がある」そうだ。

 ちなみに当ブログでも、東洋経済オンラインからの記事の「引用」をしているが、記事の丸写しは当然ながら避けている。記事はあくまでブログ作成の「きっかけ」であって、本文の大部分は「私の意見」が占めるようにしている。

 当然ながら、有料サイトへのリンクなどは一切行っていない(週刊東洋経済本誌へのAmazonリンクは例外)。

 

 最後に、書籍や雑誌の価格設定について個人的な意見を述べたい

 最近では紙の書籍と電子版では価格差を付けることが増えてきたが、ほんの数年前までは同じ価格というのもザラだった。

 ちなみに冒頭で紹介した漫画「進撃の巨人」の最新29巻の価格は、紙が495円に対して電子版は462円で6%ちょっとしか安くない。

 参考までにAmazonの新書部門で現在ベストセラーの「ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)」の値引き率は10%、これが平均的な数値のようだ。ちなみに週刊東洋経済の電子版の割引率は17%と高い。

 

 出版社側の事情を詳しく知っているわけではないが、読者から見ると、電子書籍は「印刷のコストがない」「流通在庫も不要」「取次への支払いもない」「販売する書店へのマージンもかからない」などを考えると、電子版は20%以上安く設定してもおかしくないと感じる。読後に譲渡できない制限を考慮すれば、個人的には半値でもいいと思う。

 

 ちなみに著者に入る印税は、紙の書籍の場合10%を切る水準が一般的のようだが、Amazonで自分で原稿を書いて電子書籍として出版すれば印税(Amazonではロイヤリティと呼ぶ)は、70%である。

 

 漫画が売れなくなった原因として、海賊版サイトの存在があったことは事実だが、買いたくても買えない人たちが「違法」だと知りつつも、無料で読んでいた事例も少なくないだろう。理由がどうあれ決して許される話ではないが。

 

 出版社には、電子版を値下げできない事情もあるかとは思うが、タブレットやスマホで漫画を読むという流れはもはや止めようがないのが実情だ。

 であれば、いっそのこと思い切り電子版を値下げして、販売冊数の増加で紙版の売り上げ減をカバーするというのも手だし、最近急速に普及しているサブスクリプション(定額購読)で「ページや一話単位」の収益を狙うのもアリだろう。

  そもそも雑誌は休刊が続いてるし、販売する書店自体の減少に歯止めがかかっていない。

 

 摘発と罰則の強化で海賊版サイトは減る傾向を強めるだろうが、その結果、漫画を含めた書籍・雑誌への関心が薄れて読者が減ってしまっては元も子もないと思うのだが。

使えない「若手」も「ベテラン」も任せる仕事次第で戦力になる

「できる事しかやらない部下」を覚醒させる方法(東洋経済オンライン)

伊庭 正康 : らしさラボ代表

 

 どこの会社にも、「まだ若いのに新しい業務を受けたがらない」「ベテランなのに年齢相応の仕事をしてくれない」と悩む管理職は結構いると思う。

 こうしたちょっと「面倒な」社員を、戦力として生かす手法を紹介する記事「『できる事しかやらない部下』を覚醒させる方法」が10月2日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 結論から先に言えば、「言われてみればその通りの王道」ではあるが、具体的かつ分かりやすい文体で、納得、好感を持てる記事だった。

 

 具体的な内容は記事を読んで頂くとして、簡単に趣旨を引用すると「失敗を恐れる若手には、小さな成功体験を積ませる」と「ベテランには経験を生かせる思考力、説明力を生かせる仕事を任せる」の2点だ

 

 若手に関して言えば、私自身の見方は、記事にあるような「能力はあるのに事なかれ主義の消極派」と「能力が低いのに意識だけは高い系の積極派」の二極化がやや進行しているような気がしている。

 上司や周囲とうまく「間合い」を取りながら、先輩の仕事を「見習って」自分から成長していくような、会社にとって「手のかからない若手」は減ったのは確かだろう。

 

 とは言え、「若手を育てる」のもマネジャーの仕事だから、相手に自主的な変化を求めるのではなく、変化できるような環境を与えることが重要な訳で、その観点から記事にある「半年かけて“自己効力感の種”を植える」というのは、実効力のある対策だと思う。

  「自己効力感」とは、「自分ならうまくやれる」と思える感覚のことで、この積み重ねで少しづつできる仕事の範囲を広げさせていくというのは合理的だろう。当然ながら個人差はあるので、任せる仕事の水準や期限には細かい配慮が必要だが、自分でできる仕事の範囲が広がっていけば、仕事を多面的に見るようになると思うし、その結果仕事への「判断力」は高まるはずだ。

  自分の「判断」でこなせる仕事が増えていけば、自然と仕事の「面白さ」と「難しさ」への理解が深まるので、消極的な姿勢は変化していくだろう。

 こうなれば、マネジャーとしての仕事はとりあえず「成功」である。

 

 一方、ベテランに対しては、経験を生かせる仕事を任せるのは「王道」ではあるのだが、その手法には気を付けたい。

 ここで言うベテランとは例えれば「役職定年を迎えた年上の部下」が該当すると思うのだが、総じて彼らの心理状態は、「役職も部下もいないので仕事をする覇気がない」か「部下はいないがこれまで通り自分主導で仕事を進めたい」のどちらかであることが多い。

  つまり、仕事に対する意欲が「まったくない」か「分不相応にありすぎる」の両極端なのだ。これがベテランへの対応を難しくしている

 

 前者について言えば、「年下の上司」にとっては、現実にはできることは限られるだろう。ベテランに少なくとも一定の分野で経験があるとしても、新しい仕事には抵抗もしくは後ろ向きの反応しか示さない可能性が高い。

 記事の趣旨とは反するが、こういう人たちには「馴染んだ定型ルーチンワーク」を任せるのが最善策だと思う。無理に嫌がる仕事を任せて「マイナス」の結果を生むよりは、現状維持の「プラスマイナスゼロ」の方が、相対的には評価できるからだ。やや後ろ向きの対策だが、現実的だと思う。

 

 後者に対しては、有効な方法として「プライドをくすぐる」がある。そもそも人に物事を教えたり、指導するのは好きなのだから、あとはその仕事の「内容」に配慮すればいいのだ。

 何の指示もなく「若手の相談に乗る」「新人に仕事を教える」などを任せると、大体の場合「指導と言う名の自慢話」になる可能性が高い。

 仕事を依頼するにあたっては、慎重かつ丁寧に「具体的に関与できる仕事の範囲を決めておく」ことが必要だろう。

 こちらは先の若手と逆で、放っておくと「暴走」する傾向があるので、常にウォッチしておく必要がある。

 

 記事では最後に、「いいマネジャーかどうかは、部下の眠れる力をうまく活用できるかどうかで決まると言っても過言ではない」と持論を披露している。

 これには私も諸手を挙げて賛成したい。マネジャーの本来の仕事は「自分がいかに仕事を効率よく大量にこなす」ではなく「いかに部下にいい仕事をさせて、成長させられるか」だと思うからだ。

 

 会社の財産の柱の一つは人材(人財)である。会社が成長するにあたって、社員の成長が欠かせないのは言うまでもないだろう。

中小企業「ヨドバシカメラ」のキャシュレス還元策に他社はどう対抗するか

「大企業」の家電量販店はどう対応するのか

 

本日、10月1日から消費税率が8%から10%に引き上げられた。

 巷では、税率引き上げで景気に悪影響というマクロ経済的な批判から、軽減税率制度の導入に伴う混乱、キャッシュレス決済への優遇措置など、様々な視点から議論が交わされている。

 

 私がこのブログでよく紹介する「東洋経済オンライン」にも、本日付けで「大打撃!『外食の税率10%』を乗り切る新常識」という記事が掲載された。

 記事では、タイトルにある「外食」をテーマに解説。通常なら10%の消費税が、キャッシュレス還元制度を利用すれば「お得」になる方法を紹介している。

 

 ということで、今回は当ブログでも「旬」である税率引き上げをテーマに記事を書くが、テーマは「外食」ではなく、「家電量販店」である

 

 今回、キャッシュレス還元の恩恵を受けるのは中小企業なのだが、この中小企業の定義が業種にもよるが小売業の場合、「資本金5000万円以下または従業員50人以下」となっている。

 ここで個人的に大きな話題となると前々から想定していたのが、「ヨドバシカメラ」なのだ。

 ご存じのように同社は株式を公開していない非上場企業。同社のWebサイトによれば、売上高は6931億円(2019年3月)、従業員は5000名(2018年4月)だ。会社の規模で言えば、並みの上場企業以上である。

 ところが、wikipediaによれば同社の資本金は、3000万円で、これは経済産業省の「キャッシュレス・ポイント還元事業 (キャッシュレス・消費者還元事業) 中小・小規模店舗向け説明資料」によれば、小売業では「中小企業」に相当することになる(資本金5000万円以下または従業員50人以下)。すなわち、キャッシュレス還元制度がフルに利用できるのだ。

 ただし、上記を満たしていても、確定している(申告済みの)直近過去3年分の 各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中 小・小規模事業者は補助の対象外、という仕組みもあるので、これをどうやってクリアしているのかは非上場企業だけに不明だが。

 

 ということで1日早朝にヨドバシカメラのWebサイト「ヨドバシドットコム」を見て、やっぱりと実感した。

 トップページの最上段に「10月1日からキャッシュレス決済で+5%還元」と大々的に宣伝しているではないか。これが実現可能なのは、同社が「中小企業」に分類されているからに他ならないだろう。ただし、同社発行のゴールドポイントカード・プラスを利用することと、なぜか12月31日までの期間限定の条件付きだ。

 

 ちなみに上場しているビックカメラ(銘柄コード3048)の資本金は259億円、ヤマダ電機(同9831)の資本金は710億円である。堂々たる大企業なのだ。

 

 さて、そのビックカメラだが当然ながら「キャッシュレス還元」をアピールできない。代わりにこれまでの税別表示から「全品税込表示」に切り替えたことをアピールしている。どこまで効果が見込めるか不明だが、同じ商品の価格が同じなら(ちなみにヨドバシは相当以前から税込表示)、ポイントで5%も有利なヨドバシを選択するだろう。

 

 ちなみにヤマダ電機は、Webサイトでは9月28日から10月4日までの「家電大バザール」が目立つ程度で、キャッシュレスに関する価格への言及はない。

 

 熾烈な価格競争を日々繰り広げている家電量販店で、5%の価格差は決定的な勝敗要因になる可能性がある。しかも12月までの期間限定とはいえ、冬のボーナスシーズンをカバーしているし、今後急速な普及が見込める4Kテレビなど高額商品が目玉になると見込まれることの影響も大きい。

 

 個人的な事情を明かせば、約10年前に購入したプラズマテレビが寿命を迎えつつあるので、冬のボーナス商戦を狙って買い替えの検討を進めているが、ヨドバシ以外の他社がこの不利な状況を「黙って指をくわえて見ている」とは思えない

 

 想像するに、利益を削ってまでヨドバシ価格に合わせてくる可能性もあるが、そうなると業績への影響は不可避で、株価への悪影響は避けられないだろう。

 となると、考えられるのは、売上高7000億円規模で従業員が5000人もいるのに「中小企業」という枠組みがおかしい、という論陣を張ってくる可能性である。

 

 政府やマスコミも、キャッシュレス還元の本来の目的の一部に「中小企業対策」が含まれているのは認識しているはずなので、中小企業の定義に新たに「売上高」などの基準を追加してくる可能性は否定できない。

 

 ただ、この還元策も来年6月までの期間限定。ヨドバシカメラが今年12月までの期間限定にしたのも、こうした優遇への批判や規制に配慮、税率引き上げ後の混乱が一巡して、規制論が盛り上がる前までに「とりあえず3か月だけ実施しよう」という腹積もりかもしれない。

 逆に規制に向けて動きがなければ、3月、4月の新年度入り、6月のボーナスシーズンまで期間延長も視野に入れているはずだ。

 

 いずれにせよ、10月以降の家電量販店業界では、ヨドバシカメラを軸にキャシュレス還元制度をめぐって大きな話題を集めることは間違いなさそうだ。

 

不要な大学は「淘汰」させるしかない――個性化が生存の道

日本ではなぜ人口減でも大学が増え続けたのか(東洋経済オンライン)

木村 誠 : 教育ジャーナリスト

 

 最近では「私立大学の40%近くは定員割れ」という事実は広く認知されるようになったが、この事態に関して、その経緯と現状、そして逆境下で奮闘する大学を紹介する記事「日本ではなぜ人口減でも大学が増え続けたのか」が9月30日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事ではまず、18歳人口の減少と首都圏特に東京近郊の大学への進学志向にも関わらず、地方の大学が増え続けたのは、地方自治体が既存の学校法人と協力し、財政支援をする「公私協力方式」と、その後の実質的に公設でありながら法的には民営(学校法人)という「公設民営方式」という2つの大学開設制度が影響したためと解説している。

 

 このどちらも失敗に終わった結果、今度は起死回生策として行ったのが「設置者変更による私大の公立化」である。

 この試みは、前の2つと違って成功例が出ている。例えば秋田の公立「国際教養大学」はその独自の教育プログラムが評価されて河合塾による入試難易予想ランキングでは東大、一橋大に引けを取らない。

 

 もっとも現状は、私立大学の経営は低迷を続けていると言える。先の40%割れと言うのは「全国」の集計であり、「地方」に限定すれば50%は超えているだろう。

 

 この原因はひとえに、地元の大学に通う魅力を高校生が感じられないからに尽きる。何ら教育プログラムに特徴もなく、キャンパスもただ広いだけで学生生活も楽しめそうもない、しかも就職実績は見るべきものがない、となれば進学したいと思う志望者がいるはずがないのである。

 

 最近では、 福井県など13県でつくる「自立と分散で日本を変えるふるさと知事ネットワーク」が9月3日に、内閣府に「大都市圏の大学の定員を削減し地方大学の定員拡大を促進すること」などを提言しているが、地方私大の現実をまったく理解できていないとしか思えない。

 提言した福井県知事などは、同じ日本海側にある国際教養大学を少しは見習えと言いたい。もっとも当事者は事情を分かったうえで、県民や支援者へのポーズとして出向いたのが実情と信じたいが。

 

 結局のところ、大学進学率がこの30年間で50%強まで上昇したとはいえ、それ以上のスピードで大学(特に地方)を増やしたことが、定員割れの主因なのだ。

 

 ではなぜ、経営難の地方の私立大学が生き残っているかと言えば、「補助金」と「地元の勉強意欲の乏しい学生」に支えられているからだ。

 

 特に、いわゆるFランクと呼ばれる偏差値の付けようがない「ボーダーフリー」「フリーパス」の大学においては、学生のレベルに問題がありすぎるケースが多いと思う。

というのも、この水準の大学には、自分の意志で行きたい大学を選んだのではなく、「親がとりあえず大学に行っておけというから」とか「高校の教師がお前でも行ける大学があるというから」などの理由で、進学する方が圧倒的多数ではないだろうか。

 

 よって元来勉強する意志のない学生しか集まらないから、勉学において積極性や向上心などは望むべくもなく、クラブ活動などにも消極的。就職にあたって何の努力もしない。

 その結果は、地元の中小企業にしか採用されないという結果になる。まあ元々彼らは地元志向が強いので、卒業後の人生も地元で「完結」するのが本望なら、これで構わないのかもしれないが。

 

 ただ補助金を使って運営している以上、「大学」レベルの教育をするのは最低条件だろう。それすらできない大学には存在価値があるとは言えないはずだ。

 

 記事では、情報科学の専門性や地域貢献などで評価を高めた公立の「会津大学」や、今後ニーズが高まる介護など医療系の私立大学の新設を紹介しているが、こうした独自の努力と経営改革で奮闘している個性的な大学も存在する。

 

 補助金に依存した低レベルの大学には、早々に退場願った方が、日本の大学の「質」を確保するためにも、良いと思うのだが。

「所有」で人間の欲求は満たされるとは限らない

堀江貴文「所有欲が人を幸せにすることはない」(東洋経済オンライン) 

堀江 貴文 : 実業家

 

 モノを「所有」することで、人が幸せになることはない――と主張する実業家・堀江貴文氏の記事「堀江貴文『所有欲が人を幸せにすることはない』」が9月30日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事では、「所有欲は、状況によれば行動のモチベーションにもなるだろう。でも所有欲が、人を幸せにすることはない。まず、ない。あるとしたら一瞬だ」とし、モノを「所有」することで得られる喜びは、努力の結果得られる報酬などの「獲得」の喜びと区別すべきだと指摘している。

 

 堀江氏の言いたいことは理解できる。「所有」はおカネで解決できる場合がほとんどだからだ。しかも所有することで、管理、維持、盗難などへの負担やリスクも発生する。

 

 かく言う私も、これまで中学生時代の映画のチラシに始まり、家庭用ゲーム機、フイルムカメラなどを買い集め、現在ではやや古いPCゲームの「所有」におカネをかけている。家計に影響するほどの多額は投じていないが。

 

 で、その過去に収集した所有物が今どうなっているかと言うと、多くは棚や物置で眠っているのが現状だ。

 

 個人的には、引退後の余裕のある時間を生かしてじっくり取り組むためという「理由」はあるのだが、数年後に迫った定年後に、昔のゲーム機やカメラで老後の長い期間楽しめるかどうかは疑問になりつつある。

 ゲーム機は操作性も含めたレトロな感覚を実感できるかもしれないが新しいソフトは出ない。フイルムカメラはそもそも、将来までフイルムが供給されているか、現像所が存在するのかも怪しい。使えないとなると、所有する価値は一段と低下する。(富士フイルムは現時点ではフイルム供給を続けるとしているが)。

 

 こう考えると、堀江氏の言う「所有の喜びは一瞬」というのは説得力がある。いざとなれば必要な時に、「借りる」「買う」は別にして、おカネで済ませるのが合理的だからだ。

 

 ただあえて反論するとすれば2点。一つ目は「所有」というか「コレクション」を生きがいにして、それに満足している人も少なからず存在するということ。もう一つは、「所有」と「利用価値」が一致している場合だ。

 

 前者の場合、美術品や骨董品などが多いと思うが、これらに囲まれて幸せな老人を私は複数知っている。彼らは「所有」の喜びを心底から感じているので、他人がとやかく言うべきことではない。彼らの趣味には「合理性」「効率性」という言葉はあまり意味はない。

 もともと人間は、合理性だけで行動するわけではないので、彼らの「所有」に意見を挟む気はない。本人が納得しているならば問題はない。

 

 後者の場合は、高級な乗用車が代表例だろうか。仕事で知り合いになった60代の男性なのだが、若いころからクルマが趣味で、スポーツカーを含めて相当の数を乗り継いできたらしい。今乗っているのは高級セダン。

 仕事は、呉服の個人の得意先向けの販売。買ってくれる顧客はほぼ決まっているうえ、新たな顧客も紹介がほとんどだという。

 

 商品を見たいと連絡があれば、顧客先に呉服を積んで向かう訳だが、先方の駐車場に止める際に、「貧相なクルマでは顧客の顔を立てられず申し訳ない」ことになるらしい。

 つまり呉服を定期的に購入するような富裕層には、その社会的な立場に見合った高級車で乗り付ける必要がある訳だ。

 

 このケースでは、高級車が、自分の趣味の面で充実感を満たしたうえで、仕事上でも有効利用されているので、「所有」の価値は高い

 この手法は一部の不動産ブローカーなどでも利用されいるらしい。こちらはどちらかと言えば「見掛け倒し」「はったり」の意味合いが強そうだが。

 

 聞くところによれば、堀江氏は「自宅」も所有しておらず、「ホテル」住まいらしい。確かにホテルなら、掃除などの家事の手間は減るし、食事は外食で済ませれば問題ない。今は独身のはずだから、家族への時間的な配慮も不要。

 「所有」しない主義だから、衣料関係なども最小限のはずで、ホテルの収納で十分なのだろう。

 

 先見性のある堀江氏のことだから、近著「捨て本」を読んで、今後「所有」から距離を置く人は増えるだろう。少し前から世間でキーワードになっている「断捨離」もこの考え方とほぼ同じはずだ。

 

 ただ個人的には、「所有」の非合理性に同意はするものの、堀江氏の切手のようにすべて処分するまでの踏ん切りはまだ付かない。

 こうした「こだわり」が結果として、あまり良い結果にならないのは比較的容易に想像できるのだが。

記事全体の8割強を「スライド」が占めるという試み――中身も充実

日高屋・幸楽苑「5分でわかる」ライバル企業比較(東洋経済オンライン)

武内 俊介 : リベロ・コンサルティング合同会社 代表、税理士

 

 昨日のブログで、4コマ漫画を多用した「じゅえき 太郎」氏の記事「つまらなさ気絶レベル!『酔った上司』の自慢話」を取り上げ、その分かりやすさを評価するブログを書いたが、今日は内容の8割以上を「画像」(正確にはパワーポイントのスライド)が占めるというさらに新たな試みの記事「日高屋・幸楽苑『5分でわかる』ライバル企業比較」が、9月28日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 ちなみに、この記事を執筆したリベロ・コンサルティング代表の武内俊介氏だが、会社Webサイトによれば、クレジット会社、会計事務所などの勤務を経て、税理士資格を取得し、その後独立して現在会社を2018年12月に立ち上げている。

 ちなみに「過去の記事一覧」はPCでアクセス上の問題があって確認が取れなかったが、東洋経済オンラインへの記事掲載は初デビューと思われる。

 

 一発目という事情もあって、既存の記事のスタイルとは意識的に大きく変えて「読ませる」記事から「見せる(魅せる)」画像に思いっきり振ったことは、意外性もあり評価したい。

 ちなみに本記事の文章は1ページ目の半分以下、文字数にして418字、原稿用紙1枚程度だ(スライドの見出しは除く)。

 

 さて、肝心の中身だが、まずは両社の「売り上げ」「店舗数」が似たような状況と言う前振りのあとに、日高屋の特徴(首都圏、駅前への積極展開など)を、その後対照的な幸楽苑の特徴(東日本のロードサイド中心など)を解説している。

 最後に、10年間で大きく業績を伸ばした日高屋と、伸び悩んだ幸楽苑の違いを明示したうえで、両社の今後の方向性を分析している。

 

 全体のトーンとしては、日高屋の「駅前屋台」戦略が奏功して売り上げでは追い抜いたが、幸楽苑も業態転換などでここ一年客数を大きく回復させており、「本当の勝負はこれから」という結論だ。

 

 個人的な見解を言えば、当面は日高屋の勢いが続くとみる。その理由となるキーワードは「アルコール」だ。

 「ちょい飲み」「せんべろ」など低価格で飲んで酔える手軽な居酒屋やチェーン店が人気を集めている傾向にはまだ陰りは見られない。しかも駅前立地ということで、平日の会社帰りや休日の暇な時間にちょっと来てさっと飲める気軽な飲み屋として需要は続きそうだ。

 

 参考までに日高屋ではWebsサイトの「ちょいのみ日高」で「中華そば+餃子+ビール」で合計930円(税込み)という、まさに「千円でお釣りがくる!」ことをアピールしている。 

 しかもアルコール飲料は料理に比べて原価率が低いので、利益の向上にもつながる。

 

 ピザやドリアなどの低価格帯を売り物にするイタリアンレストラン「サイゼリア」が、郊外のロードサイド店舗から駅チカに店舗展開を移行させているのも、得意とするワインの売り上げ向上を狙っているのは間違いない。

 

 一方、幸楽苑だが、主力のロードサイド店舗ではクルマでの来店が基本なので「お父さんのとりあえずビール」など酒類の売り上げが期待できない

 また「いきなり!ステーキ」に代表される業態転換も一時話題を集めたが、競合他社の参入も相次ぎ競争が激しいうえ、今年に入って海外進出したニューヨーク店舗の半数以上を閉めるなど、勢いに陰りも見られる。

 

 スライドによれば、一期でV字回復をしたとは言え、営業利益は4.0%と日高屋の11.3%の半分以下の水準に留まる。

 主力のロードサイド店舗を、その特徴を生かした別の外食業態に転換させるのか、駅前などに店舗の立地を移行していくのか、もしくは他業種(コンビニ、ホームセンターや書店など)と組んで、複合店舗を目指すのか――。

 

 主力の「柱」が明確に定まっている日高屋に対して、これからも試行錯誤が続きそうな幸楽苑がどこまで踏ん張れるかに注目したい。

 

 ちなみに私自身どちらの中華そばも食べたことはあるが、味音痴なせいか明確にどちらがうまいとは断言できない。普段は値段はやや高いが、地元で個人が経営する自家製麺のラーメン専門店で食べている。

上司の「飲み会強制」には、事前対策が有効

つまらなさ気絶レベル!「酔った上司」の自慢話(東洋経済オンライン)

じゅえき 太郎 : イラストレーター、画家、漫画家

 

 サラリーマンの悲哀を、イラストを使って分かりやすく説明する画家・漫画家「じゅえき太郎」氏の第二弾の記事「つまらなさ気絶レベル!『酔った上司』の自慢話」が9月27日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 前回「悲哀!連休気分をぶち壊す『上司からの電話』」では、休日の過ごし方や上司からの仕事の電話に悩まされるエピソードだったが、今回のテーマは「飲み会」。このキーワードだけで大体内容は想像できるのだが、4ページ目を除く全ページに掲載された4コマ漫画が実にリアリティがあって面白い。

 

 過去のすべての東洋経済オンラインの記事を読んだ訳ではないが、ビジネス経済誌のWeb版でここまでイラスト(漫画)を大きく扱った記事はないのではなかろうか。

 他のビジネス誌系Webと比較してやや軟派な記事が多い東洋経済オンラインにおいても、異色の記事だと思うが、個人的にはこういう風潮の記事もアクセントになって面白いと思う。

 

 さて、今回のテーマ「飲み会」で、取り上げているのは3つ。

 一つ目は「無礼講」。記事では、「この世に『無礼講』という言葉は存在しません」との言葉で始まっているが、これはサラリーマンの世界では30年以上前から存在している慣例だが、いまだに存在するのはともかく、まだ勘違いしている社員がいることには驚いた。 

 そもそもこの無礼講。表面上は「宴会の席では多少の無礼は許される」という意味だが、これを言葉通りに受け止める思考回路が理解できない。無礼講というのは宴会が始まる前に上司が発言する言葉だが、その真意は「酒の席で日ごろ聞けない社員の本音を引き出す」ことであり、また「酒に飲まれる人間かどうかを見極める」機会として捉えることにある。

 そもそも「パワハラ」だ「セクハラ」だと騒がれるこのご時世に、言葉通りの「無礼講」が通用するという認識が甘すぎる。

 

 一方、この段落で感じたのは「作者の会社への対応の変化」。前回は、休日に上司からかかって電話に対して、「着信を無視しても『なんの電話だったんだろう』『なんかやっちゃったかなという不安が休日の邪魔をします」という弱気な姿勢だったが、今回は「そもそも飲み会には行きたくない、という人は正直に断りましょう。無理して飲み会に参加する必要はありません」と毅然とした態度を推奨している。

 本人の仕事に対する考え方が変化したのか不明だが、仕事とプライベートを切り分ける姿勢は重要だ。

 

 2つ目は「上司の自慢話」。これも私自身経験があるが、最初は参考になると思って聞いているのだが、まず間違いなく飲み会のたびに同じ話を聞かされることになる。要するに他に聞いてくれる人がいないから部下に自慢する訳だが、こういう上司に限って日頃仕事で目立った実績を上げられないので、過去の栄光(自己評価だが)にすがっていることが多い。

 まあ、自慢話をする上司も同じようにさらに上の上司から自慢話を聞かされてきたであろうから、同情の余地がないわけではないが、付き合わされる側の立場も考えてほしいものである。

 

 3つ目が「定時退社直前に仕事の要請」。これも要領の悪い上司にありがちな事象である。そもそも仕事を請け負った段階で、どの程度の作業量で、部下の手伝いが必要かどうかを把握すべきなのだが、段取りの悪さもあって結局時間切れで「部下に頼む」という迷惑な事態を引き起こしている。しかも救いようがないのは、本人にはその自覚がないことだ。

 

 以上、3つの「上司との飲み会あるある話」だったが、回避する方法として有効なのは「事前対策」である。

 基本的にこの手の上司は「自分の都合」でしか行動しない。「部下への配慮」という思考は持ち合わせていないものと心得るべきである。

 したがって、1つ目と2つ目のケースでは、「今日は学生時代の友人と会うので」とか「家族や親戚と大事な話があるので」などと言っておけば、まず強引には誘ってこない。特に家族関係を持ち出せば、飲み会に誘うことで問題がこじれたときに恨みを買う可能性を恐れて、引っ込むことが多い。ただしあまり多用するとバレるのでケースバイケースで。

 

 3については、就業時間内できれば早い時間帯に「今日は以前から約束していた大事な用事がありますので定時で帰ります」と宣言しておくのが有効だ。小細工としては、夕方近くになったら「仕事を早く切り上げたいオーラ」を振りまいておくとさらに効果的だ。

 

 以上、以前に比べれば無理に飲み会に誘く上司は減ったと思うが、記事からはまだ生息していることが分かる。繰り返すようだが、有効なのは先手を打つ「事前対策」である。

「出来立て弁当」は伸び悩むコンビニの救世主になるか

コンビニ「出来たて弁当」は消費増税後に人気商品として広がるか(ダイヤモンド・オンライン)

森山真二:流通ジャーナリスト

 

 店内で炊いたご飯に、フライヤーなどで調理したおかずを付け合わせて「出来立て弁当」として提供する新しいスタイルの弁当に対して、コンビニ各社の対応が明確に分かれていることを解説する記事「コンビニ『出来たて弁当』は消費増税後に人気商品として広がるか」が9月26日付けのダイヤモンド・オンラインに掲載された。

 

 コンビニ弁当と言えば、おにぎりなどが置いてある棚の横に、麺類などと並べて置かれていて、レジで電子レンジで温めてもらうという認識だったのだが、最近では、差別化を図り、集客力を高めるための商品として、「出来立て」をウリにするらしい。

 

 確かに記事にもあるが、コンビニのレジ近くには「唐揚げ」「コロッケ」など店内で揚げた総菜を置いているし、あとは炊飯器を用意して、弁当の容器に詰め込めば「出来上がり」となるのではないかとは思う。

 

 パックで密閉された既存の弁当も味は悪くない。ただ、細かい話で恐縮だが、個人的には付け合わせの「漬物」まで電子レンジで一緒に温まってしまうのは何とかならないのかと感じていた。

 これが、ご飯もおかずも出来立てに近い状態で提供されて、漬物もそのままの温度であれば、例えば同じ「鳥の唐揚げ弁当」なら、出来立てを選択する顧客の方が多いと思う。

 

 この出来立て弁当に最も力が入っているのが、ローソンだ。2018年2月末時点で国内14,659店舗のうち、6000店に出来立て弁当「まとかど厨房」を展開済だという。

 ちなみに同社のWebサイトを見ると、鳥の唐揚げ系では、既存のタイプでは「おろし竜田弁当」が税込み498円、一方「まとかど厨房」では「鶏から弁当(おろしポン酢)」が税込み500円でほぼ同じ価格。

 

 9月には新商品も投入するなど、「弁当の出来立て化」路線はさらに強化される見通しだ。

 Webサイトを一見したところ全く同じ商品は見当たらないし、記事によれば「既存の常温やチルド弁当と競争しない」そうなので、商品同士の「食い合い」は回避できていると思われる。

 

 一方、セブンイレブンは「出来立て弁当」を扱っていない。過去にはとんかつ弁当の販売を試験的に実施たこともあったようだが、現時点ではチルドや冷凍食品に傾注しているようだ。

 

 記事では、「セブンは、出来たて弁当は、炊飯、盛り付けなどの作業が発生する。この作業に対しそれほど売り上げ、利益が上がらないと評価している」と解説している。

 

 これはこれで説得力のある説明ではあるが、問題の本質は、加盟店からの24時間営業問題でのトラブルなど、現状でも人手不足で運営維持が厳しい加盟店に、これ以上の作業負担を要請できるかという、現実が大きな要因になっているはずだ。

 

 確かに強引に出来立て弁当の導入を決めて、さらに店員の作業量が増大すれば、その不満が爆発して最悪の場合、異物混入などの「バイトテロ」が起きないとも限らない。

 設備投資やリスクを伴う新商品よりも、オリジナルブランドで商品開発力もある冷凍食品の充実を図るというのは、ひとつの経営判断だ。

 

 持ち帰り弁当市場では、「ほっともっと」を展開するプレナスが販売不振から直営店190店の閉鎖を発表、利益の見込める加盟店化を目指すなど、競争は激しさを増している。

 以前から店内調理の弁当を手掛けていたスーパーに加え、最近ではドラッグストアも参入している。「中食」市場の拡大が背景にあるのは間違いない。

 

 今後、10月以降持ち帰りの弁当には軽減税率が適用されることも追い風となり、コンビニでの「出来立て弁当」の売り上げ増加は確実だろう。

 ただ、懸念されるのは、先にも書いたが「弁当作り」にかかる作業コストをどこまで抑えられるかだ。 

 

 商品が人気化すれば、品ぞろえ充実の声が高まるのは必至、おかずの種類を増やしていけば必ず店員の作業負担は高まる。

 しかも弁当がもっとも売れるのは、お昼時に集中しているはず。ただでさえ長いレジ待ちが発生しているのに、さらに待ち時間が増えるのを顧客が耐えられるだろうか。

 

 個人的には、昼食の弁当にあまり「こだわり」はないので、空いているコンビニで適当に済ませることが増えそうな気がしている。