如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

金銭感覚に欠ける配偶者は「家庭の不幸」という結果しか生まない

過労による異動で収入減の夫を罵倒、39歳自己チュー妻がもたらす不幸(ダイヤモンドオンライン)

横山光昭:家計再生コンサルタント

 

 夫の仕事や健康状態を無視して「住宅購入」という目標しか妻の頭にはない。給与が削減されたにも関わらず、節約、パート勤務などの家計対策に非協力的――こんな危機的な状況にある家計の相談を受けた家計再生コンサルタント横山光昭氏の記事「過労による異動で収入減の夫を罵倒、39歳自己チュー妻がもたらす不幸」が13日付けのダイヤモンドオンラインに掲載された。

 

           f:id:kisaragisatsuki:20200113094125j:plain

 登場する家族は、42歳の会社員の夫と39歳の専業主婦の妻、8歳の子供の3人構成。内閣府の男女共同参画局の調査によれば、共働きの世帯が平成10年以降増え逆転したとはいえ、まだ700万世帯を超える専業主婦世帯が存在する。夫が家計の管理をすべて妻に委ねているというのも、少数派になりつつあるだろうが一定数いるだろう。

 

 この夫婦が相談に訪れた理由は、「住宅購入」という目標があるものの一向に貯蓄ができないなか、夫が過労で倒れて残業の少ない部署に異動となり、月収が42万円から31万円へと激減したこと。

 

 著者の横山氏は、「節約」と「収入増」の両面から各種提案をするが、妻は様々な理由を言ってまったく聞く耳を持たない。夫は収入減という「弱み」があるので、何も言えない状態。

 しかも妻の住宅購入熱は一向に冷めることがないどころか、目星を付けていた8000万円の都内戸建てを何とかして購入できないか考えを巡らせる始末。

 

 まあ、妻がどうにも非現実的な「夢」に取りつかれて、将来の家計に対する冷静な判断ができていないのは明白なのだが、想像するに周囲の家庭が相次いで住宅を購入したり、超金利下で購入可能な物件が増えたことも影響しているのだろう。

 

 ここは客観的に8000万円の物件を購入した場合の住宅ローンシミュレーションを行ってみた。利用者の多いフラット35を手掛ける住宅金融支援機構のWebサイトでは、返済方法について「借入金額」「現在の年収」「毎月の返済額」の3つのポイントからシミュレーションが可能だ。

 

 登場する家庭の場合、借入金額は頭金を1000万円いれたとして借入額は7000万円。これにフラット35で融資率9割以下で最も多い金利である年率1.270%で借入期間35年で計算してみた。

 結果は、毎月の返済額が20万7000円、総返済額は8675万円だ。収入が月31万円なのだから返済比率は66%となる。しかもこの金額には管理費、修繕積立金、固定資産税は含まれていない。これらを計算に組み入れるとざっと見ても毎月の返済額は25万円を超えるはずだ。こうなると返済比率は80%になる。

     f:id:kisaragisatsuki:20200113094407p:plain

  ちなみに住宅・不動産の情報サイトSUUMOによれば、「金融機関の返済比率(返済負担率)の審査基準はおおむね30~35%程度」とのこと。返済比率80%というのがいかに無謀かがわかる。ちなみに夫の年齢は42歳だから35年ローンを組むと返済完了となるのは77歳。今後定年延長などが実施されたとしてもせいぜい70歳まで、しかも減額が必至とされる公的年金収入から毎月20万円を支出するのは不可能だろう。

 仮にこのまま住宅購入をすれば、将来の自己破産もしくは自宅の任意売却は間違いなしの典型的なパターンである。

 

 この家族の抱える問題の原因が、家計の現実を見れない妻にあるのは間違いないのだが、それを放置してきた夫にも責任はある。

 

 記事で著者は、「優しい夫」は悪くはありません、妻も、「自分」だけではなく「家族」を思いやり、みんなが幸せになれるお金の使い方を考えることが必要、だと優しくたしなめているが、このままでは妻の「住宅購入一直線」の思考回路が変わることはないだろう。

 

 私が相談員の立場であったら、まず第一に「給与の管理を夫がして、必要な生活費をその都度夫婦で話し合って、合意できた金額を渡す」ことをアドバイスする。

 収入の範囲内で、分相応の暮らしをしない限り住宅購入はできないことを身をもって感じるしか方法はないだろう。もっとも簡単に合意形成ができるとは思えないが。

 懸念すべきは、おカネが足りなくなってクレジットカードでの支払いを増大させたり、カードローンやキャッシングなどに走る可能性があること。

 クレジットカードについては、妻名義のカードを取り上げるのが一番だが本人が拒否するのであれば、夫が自主的に解約を申し込むしかない。幸い専業主婦世帯なので、世帯主が申し込めば申請は通るはずだ。

 

 あとは最終手段として消費者金融などに駆け込む可能性もあるが、これに対応するには日本賃貸業協会の貸付自粛制度などを利用するしかないだろう。

 

 以上をまとめると、経済観念に乏しく「夢」を見ることしかできない人には、厳しい現実に直面させるしか方法はないと思う。

 相手が納得できなければ、最悪離婚にまで発展する可能性もあるが、多額の借金を抱えて自己破産するのとどちらが良いかは、個々の家庭の判断になるのだろうが。

「高利回り銘柄」を求めるのは必ずしも悪くないが・・・

高配当利回り株に投資する人がはまる落とし穴(東洋経済オンライン)

山崎 元 : 経済評論家

 

 多くの上場企業の決算期である12月が過ぎ、3月が近づいたことで最近の各種株式投資メディアには「株主優待」や「高配当」を特集する記事が増えてきたように感じる。

            f:id:kisaragisatsuki:20200111103015p:plain

 こうしたなか、私が個人的にその正直かつ実践的な投資スタンスの解説を評価している経済評論家の山崎元氏の「高配当利回り株に投資する人がはまる落とし穴」が1月11日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事の趣旨は「高配当銘柄」に人気が集まる原因の分析と、それに対する山崎氏の見解。

 同氏によれば、この人気の要因として、

  1. 日本株の配当利回りに注目する投資家が増えた
  2. インカムゲインを指向する投資家が、高配当株に注目するようになった
  3. バリュー投資(割安な株式への投資)に取り組む投資家が増えた

 ことを挙げている。

 

 著者のスタンスは、この中で3.については、いわゆる「不人気」銘柄としての観点から「高配当」=「高利回り」銘柄投資には賛成だが、他の2つについては否定的だ。

 その理由として、株式の配当は変動的なもので、その利回りは銀行預金や国債とは単純比較できないこと、利益予想の下方修正でもあれば、株価が大きく下落する可能性を指摘している。

 

 個人的な考えを言えば、著者の意見には賛成だが、その対象は「株式」に限ればという条件付きだ。

 というにも私自身のポートフォリオ構成を見ても、そのほぼ半分はREIT(上場不動産投信)で占められている。その部分の平均予想利回りは4%近い。

 

 確かに「株式」であれば、内部・外部環境の突発的な変化で、黒字予想が一転して赤字になって、株価が大きく下落、配当金も無配になる可能性はある。

 実際に日産自動車(7201)は高配当銘柄で有名だったが、業績の悪化で前期、前々期に1株当たり50円台だった配当金を、今期は「未定」としている。市場のコンセンサス予想も10円台から高いものでも20円台に急落している。スルガ銀行(8358)のように、前期無配に陥る会社も決して珍しい事例ではない。

 

 一方、「REIT」は投資対象が不動産であり、主な収益源はそこから得られる賃貸料収入だ。確かに賃貸料自体も下落の可能性はあるが、現在の物件の稼働率が軒並み90%を超える状況下で、来年賃貸料がいきなり急落するということは考えにくい。

 個人が住む賃貸物件を考えてみても、翌年の家賃が「2倍」になったり「半額」になることはまずないはずだ。

 ましてや「賃貸料収入」が赤字になるということは理論的にありえない。(ただし保有物件の売却によって実損が出る可能性はある)

 

 よって、資産の一部はREITで運用するのが「利回り向上には効果的」と言うのが私の持論だ。当然ながら反論、異論もあるだろうし、他人に推奨するつもりもないので、個々で判断してほしい。

 

 ただ指摘しておきたいのは、REITは昨年その利回りの高さから人気化して、昨年一年間で20%近く上昇した。今後の波乱含みの不動産市況などを想定すると、REITにも銘柄を選別する動きが出る可能性はある。

 私がREITのポートフォリオを組んだのは数年前なので、多少の相場下落には耐えられるが、この相場水準からの新規投資には慎重にならざるを得ないというのが現在の投資判断だ。

 

 最後に記事では、定期的な現金収入が欲しい人には、ネット証券などが最近導入している「定期売却サービス」を推奨している。

 私の利用しているSBI証券の説明によれば、「金額指定」「積立買付」でお買い付けいただいた投資信託(一部投資信託を除く)中から、設定した金額を特定の日に自動的に売却し、年金のようにお受取りいただけるサービスだ。

 ただし、積立買付を設定中の銘柄は対象外で、現金で引き出すには当然ながら銀行口座への「出金」手続きが必要になる。

 

 最近再び人気が復活しつつある「毎月分配型投資信託」よりは、はるかに「まともな」サービスだと思うが、気になったのは売却する投資信託を自分で決める必要があること

 特定の銘柄を定期的に売却するというのは、見方を変えれば著者が記事内でも否定する「ドルコスト平均法投資」の売却版とも言えなくもないのではないか。

 

 毎月一定額を売却するというのであれば、その時点で最も基準価額の評価益が大きい投資信託を自動的に選択してくれるところまで配慮してほしい。

 SBI証券には、全自動で世界レベルの資産運用をしてくれるロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」というサービスがあるのだから、それぐらいの仕組みは簡単に提供可能だろう。

 

 ともかく、資産運用で高い利回りを追求するのは間違いではないが、株式の高配当銘柄(株主優待を含む)とREITの配当利回りを同列に扱うのには、株式と国債を同様に扱うぐらい無理がある、というのが私の考え方だ。

 毎月定期的な収入が必要になったら、その時点ごとに利が乗っている銘柄を選択して部分売却するというのが効果的かつ効率的だと思う。

管理職には受難の時代、自ら視野を広げる努力を

優秀な中堅ほど上司を「尊敬できない」根本理由(東洋経済オンライン)

徳谷 智史 : エッグフォワード 代表取締役

 

 有名企業所属で、客観的に見ても実績のあるミドルの方々が、口をそろえて、「上司のようになるイメージが湧かない」と現職でのキャリア形成に疑問を抱く――こんな傾向が強まっているとする記事「優秀な中堅ほど上司を『尊敬できない』根本理由」が1月9日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

            f:id:kisaragisatsuki:20200109070627p:plain

 著者は、「企業変革請負人」として組織・人財開発のプロフェッショナルを自任する徳谷 智史氏。「世界唯一の人財開発企業」を目指し、エッグフォワードを2012年に設立、代表取締役を務めている。

 

 記事のテーマは、先述のように中堅世代にとって「目標としたくなるような上司が社内にいないので、このままでは自分の将来のキャリアデザインが描けない」という深刻な事情だろう。

 

 確かに現在の管理職である上司は、採用された当時はまだ終身雇用や配属先の部門で「修行」を重ね、40代になってようやく実力が評価され、給与も上昇するという時代を経験してきた。特に歴史のある大企業などではその傾向が強いはずだ。

 

 ところが時代は変わって、終身雇用制度は崩壊、年功序列もそれに続きつつある。現在の管理職が歩んできた「一所懸命」という考え方はもはやミドル世代には通用しないのだ。

 一方で、管理職は自分の成功体験をもとに語るので、「自らキャリアデザインを描きたい」中堅との溝が埋まらない。

 

 記事では、この状況について管理職が「特定の環境でしか働いたことがないため、新たなスキルや知識を学ぶ機会をつかもうとせず、視野が狭くなりがちなこと」を理由として挙げ、「社外との接点を増やし、客観的な視点で自分や今いる組織を見つめなおすこと」を推奨している。

 

 私自身の経験で恐縮だが、30代になって「親会社」に出向となり、全く畑違いの仕事を一から学ぶ羽目になった。今思えば当時は大変な苦労をした記憶があるが、数ある子会社を抱える親会社という立場で仕事をするというのは、グループ全体を見渡せるという意味で勉強になったのは確かだ。

 

 数年後に元の会社に戻れると思っていたら、今度は新設される「子会社」への出向となった。今思えば、子会社での仕事を円滑に進めるための機会として親会社への転出を考えていたようにも思えるが、当時は会社の知名度は全く異なるし、仕事内容もまた一変したが、それまでの経験が、グループ内での企業としての視点から仕事の進め方のツボを押さえた効率的な仕事をする手助けになったことは否めない。

 

 たまたま自分の場合は、当時としては数少ないキャリア事例に当てはまったので、仕事を客観的に見る機会を得たが、同世代の管理職には「経理一筋30年」のような人材も少なくない。

 

 ただし、記事でも「一本道のキャリアが決して悪い訳ではない」と解説しているように、重要なのは「自分のスキルや能力が『世の中一般的にどの程度のものなのか』を知ること」だろう。そのための手法として転職支援企業に登録して、とりあえず自分の社会的かつ客観的な「実力」を知っておくことは有効かもしれない。

 

 政府も「働き方改革」を推進する中で、厚生労働省は就業モデル規則を「副業容認」へと、これまでとは180度方向性を転換している。実際に副業を認める会社も増えつつある。

 これは見方を変えれば、「もう社員を定年まで雇用する制度は維持できないので、将来設計は副業を生かして自分で考えてください」という会社側のメッセージでもある。

 

 有名な大企業でもリストラ対象が40代まで下がってくる時代に、「過去の栄光」にしがみつく管理職に明るい未来はないと思った方がいい。

箱根駅伝、連覇を逃した東海大学陸上競技部のツイッターが「子供」レベル

10位の東洋大学の情報発信の姿勢を見習うべきでは

 

 例年盛り上がる正月の名物行事「箱根駅伝」。

 今年は一昨年の勝者青山学院が昨年の2位から王座を奪還するという結果に終わった。特に復路は優勝こそ逃したものの、追う東海大学に一度も追いつかれることなく全区間1位での勝利だった。

            f:id:kisaragisatsuki:20200107072902p:plain

 個人的には、昨年の覇者東海大学の一強で、これに前回2位の青山学院大から、3位の東洋大学、4位の駒澤大学、5位の帝京大学までを有力校として優勝争いになると予想していた。解説者の間では、他の大学駅伝でなどで好調だった国学院大学、東京国際大学を5強に入れる声もあったが、私は陸上競技や駅伝に詳しくはないので、ここではとりあえず昨年の上位5大学を対象としたい。

 ところが結果は、東海大学こそ2位に、帝京大学は4位に食い込んだが、駒澤大学は8位、東洋大学に至ってはシード権すれすれの10位という予想外の順位となった。

 

 個人的にはどこの大学を特に応援しているという訳ではないのだが、そこは「斜め目線から」の分析を売り物にしている本ブログ、競争終了後の各大学の陸上競技部のWebサイトなどの更新状況を確認してみた(いずれも7日6時30分時点の更新状況)。

 

 まずは優勝した青山学院大学。陸上競技部のサイトでは、往路の2日には2回の更新、復路の総合優勝した日も2度の更新、その後も4日、5日と続けて祝勝会のお知らせなどを掲載して更新している。まあ優勝校なので当然と言えば当然だが、淡々と誠実な情報発信をしているように見える。

 

 次に4位の帝京大学駅伝競走部だが、ここは評価の対象外としたい。というのもサイトは存在するのだが、2018年6月を最後に更新が止まっているのである。理由は不明だが、Webサイトで新たな情報発信する意図がないことは明白なので、これは大学側の方針なのだろう。個人的には、1年半以上も更新しないなら、サイトの存在自体がマイナスイメージにつながるので削除した方がマシとも思うのだが。

 

 8位の駒沢大学は極めてシンプル。往路、復路ともに当日にその結果を淡々と掲載している。監督や選手のコメントはなく、「ご声援ありがとうございました」「これからも応戦お願いいたします」の2つのメッセージがあるだけ。まあ結果が結果だけにコメントしにくいという面はあるだろうが、それでも正式に結果を情報発信している点は素直に評価できる。

 

 10位に低迷した5強の一角東洋大学は、陸上競技部のサイトは部の紹介に留まっていて、「スポトウ」という東洋大学スポーツ新聞編集部が駅伝を含めた各種競技の最新情報を発信している。箱根駅伝に関しては、3日に往路の結果を編集部の総評に始まり、酒井監督や選手のコメントを合計6500字を超える長文で解説している。

 なかでも監督のコメントは約1300字と圧倒しており、各種スポーツ新聞の報道とは比較にならないレベルの充実度。復路については6日の更新とやや遅れたが、それでも同様に5600字を超える記事を掲載している。

 期待に応えられなかったチームとしてはあまり情報発信はしたくないのかもしれないが、ここまで緻密に取材し、監督・選手も丁寧に対応しているのは高く評価すべきだと思う。

 

 さて、ここまで読んで来られた方々は、「2位の東海大学はどうした?」という疑問を持たれると思う。その理由は同大学の陸上競技部中・長距離ブロックのWebサイトを見れば一目瞭然だ。

 同サイトは左側にトピックスがあり、右側にツイッターの更新情報が掲載されている。ちなみにトピックスの方は昨年12月31日で更新が止まっているので、これはこれで編集方針として理解できないでもない。

 問題はツイッターの方である。最新情報は3日の復路の出場メンバーの紹介で、その前が往路4位の結果報告。肝心の復路、総合の結果については一言も言及がない。

 いくら2位という残念な結果に終わったとしても、少なくとも結果報告と応援してくれた全国のファンへの感謝のメッセージぐらいは掲載するのが最低限の「大人としての常識」ではないだろうか。

 連覇への可能性を残した往路までは情報発信するも、最終的に結果(ここでは連覇)が出なければまったくの無反応というのは「嫌なことはしたくない子供」レベルの情けない対応だ。

 同じ優勝候補と言われつつも、10位に終わった東洋大学の真摯な情報発信に比べると、まさに「大人と子供」ぐらいの責任感の差があると言われても仕方がないだろう。

 

 「勝った」ときにそのうれしさを情報発信するのは当たり前。むしろ「負けた」時にこそ組織の体制や指導者の考え方が如実に反映される、と受け止めたのは私だけではないだろう。

「今年こそ貯蓄を」と考えている人への的確なメッセージ

2020年、お金を貯めたいなら「ボーナス払い」をやめるべき理由(ダイヤモンドオンライン)

深野康彦:ファイナンシャルプランナー

 

 昨年のバブル世代を狙い撃ちにした大企業のリストラ対象年齢の低年齢化などを背景に、50代の勤労者は言うまでもなく、30代、40代の人たちにも会社の将来、そして自分の人生設計への不安感の高まりから、「今年こそ貯蓄をしよう」と考えている人は多いだろう。

 

              f:id:kisaragisatsuki:20200105120410p:plain

 1月5日付けのダイヤモンドオンラインに、まさにこういう人々のための記事「2020年、お金を貯めたいなら『ボーナス払い』をやめるべき理由」が掲載された。

 

 タイトルには「ボーマス払い」が使われているが、内容はその他貯蓄環境を取り巻く様々な事例を取り上げており、新年に貯蓄を目指すためのアドバイスが具体的に書かれているのが特徴だ。

 著者はファイナンシャルプランナー(FP)の深野康彦氏。1989年にFP会社に入社、その後1996年に独立して現在に至るというから、FPとしての経歴は30年近くになる。

 ちなみに私がFPの資格を取ったのは1999年だが、当時から分かりやすい解説が人気の有名なFPだった記憶がある。

 

 記事前半では、今年の賃金に関する注目ポイントを解説している。

 最初のポイントは2020年4月からの「同一労働同一賃金制度」で、著者は「本来、正社員と非正規社員の収入格差をなくすための制度ですが、どうやら非正規社員の収入を上げるのではなく、正社員の収入を下げる方向に動く企業が多いようです」と指摘している。

 

 具体的には「家族手当、住居手当などが廃止になる有力候補」としており、家族持ちや賃貸住まい、住宅ローンを抱える人への影響が大きそうだ。

 特に大企業では、各種福利厚生制度が充実していることが就職の際の人気要因のひとつになっていたが、バブル崩壊・リーマンショック以降、保養所や社員寮などを売却する動きが続いており、この流れに沿えば会社側は「家族手当」「住宅手当」の廃止は当然視野に入れていると思った方がいい。昨年の残業規制に加えて、今年の各種手当の廃止はサラリーマンには堪える。

 

 第二のポイントは、「給与所得控除の上限額が引き下げ」と「基礎控除の引き上げ」。

 年収850万円以上の所得控除が220万円から195万円に引き下げられる訳だが、ただし、税務署の平成30年分所得税の改正のあらましによれば「年齢23歳未満の扶養親族がいる人」などには新たに「所得金額調整控除」が設定されるので、対象の家族がいる世帯には多少の軽減措置もある。

 

 もっとも影響は基礎控除の方が大きいかもしれない。記事にもあるが、財務省の平成30年度税制改正の個人所得課税の(3)公的年金等控除の適正化によれば、注釈に小さく下図のように記載がある。

f:id:kisaragisatsuki:20200105112134p:plain

財務省の資料から抜粋

 現在は年金支給開始時期の調整期間中で、65歳未満でも年金を受け取っている人がいるが、より影響が大きいのは65歳支給になる現役世代だろう。

 控除金額が70万円から60万円へと年額10万円の引き下げというのは、率にすれば15%である。これまでは月額5万8000円までの年金には課税されなかったが、今年からはこの水準が5万円ちょうどに引き下げられることになる。

 個人年金や企業年金などで60歳からの支給を予定していた人には、負担増は避けられないかもしれない

 

 記事では後半で、「年収に占めるボーナスの割合は、従業員数5000人以上では約28%に達しています」と指摘、業績に左右されるボーナスへの家計依存度を低くして、固定資産税や保険料などの支払いを毎月積み立てることを推奨している。

 これについては具体的には、例えば生命保険料や自動車任意保険料は「年払い」の方が「月払い」より安いので、支払いを「月払い」にするのではなく、「年払い」のための資金を自分で毎月積み立てるという意味だということを確認したい。

 

 また深野氏お得意の「節約」分野の指摘も改めて参考にしたい。ポイントは通信費と生命保険。

 Docomoなど大手キャリアから格安キャリア(MVMO)に乗り換える節約法ははすでに広く知られているが、実践している人はまだ少ない。

 MM総研の調査「国内MVNO市場規模の推移(2019年9月末)」によれば、2019年9月末の契約数比率は7.8%に留まっている。ちなみに私はY-mobileのガラケーを使っているが、「いつでもどこへもかけ放題」で支払いは毎月1000円ちょっとである。この辺りのアドバイスは昨年7月の当ブログ「シニアには「ガラケー」「タブレット」の2台持ちがオススメ」でも書いているので、参照されたい。

 

 生命保険については、予定利率が最低水準にある今、長期の終身保険などに入るのは問題外。どうしても病気や事故の補償が不安なら「こくみん共済」など各種共済でカバーするか、若い世帯なら掛け捨ての死亡保障の定額保険が最も合理的だ。

 記事にもあるが、見かけの金利に惑わされがちな「外貨建て保険」などは、見方を変えれば長期で「外為」の変動に賭けるようなようなものである。もしも外国為替で運用したいならFXでレバレッジを1倍に設定して投資した方が手数料的にはまだマシだ。投資先としては決してお薦めはしないが。

 

 ということで、新年早々「今年こそ資産を増やそう」という考えている人には、まず足元の所得の動向と節約の基本を押さえるという意味で、タイミングのいい記事だと思う。

ヨドバシカメラ、予想通りのキャッシュレス還元期間を延長

期間を3月1日までに、ただし還元額は1万円引き下げ

 

 新年早々、昨年の予想が当たって喜ばしい限りである。

 何のことかと言えば、家電量販店大手ヨドバシカメラが1日、昨年末までだったキャッシュレス還元策の期限を今年3月1日まで延長したのだ。

 

 昨年10月に消費税率が10%に引き上げられた際に、当ブログでは当日ヨドバシカメラの動向を「中小企業ヨドバシカメラのキャシュレス還元策に他社はどう対抗するか」を10月1日に掲載、このなかで「逆に規制に向けて動きがなければ、3月、4月の新年度入り、6月のボーナスシーズンまで期間延長も視野に入れているはずだ」と書いたのだが、延長期間はともかく見事に的中した。

f:id:kisaragisatsuki:20200102210344p:plain

ヨドバシカメラのWebサイトから

 しかもバナー広告内には、左上に丁寧にも「大好評につき第2弾」とまで書かれている。

 

 さて、気になるのは今後の展開だが、前回のキャンペーンが10月1日から12月31日までの3カ月、今回は1月1日から3月1日までの約2カ月。となると第3弾は3月2日から3月31日までの約1カ月となると考えるのが自然。

 

 ただ、中小企業だけに適用される今回のキャッシュレス還元策は6月末までが期限なので、ひょっとすると4月以降も何らかの還元策を用意・検討している可能性はある。

 

 もうひとつ気になったのは、今回の還元ポイントの上限がひと月当たり上限2万円という点。ヨドバシカメラのWebサイトにはすでに記載がないので確かではないのだが、BCN+RのWebサイトの記事によれば、前回のキャッシュレス還元ポイントの上限は3万円だったので、1万円引き下げられたことになる。買い物金額で言えば還元の上限が60万円から40万円に20万円分引き下げられた形だ。

 

 以上をまとめると、予想通りにキャッシュレス還元の期間は延長されたが、その期間と金額はより限定的になったと言える。この傾向は第3弾にも引き継がれる可能性が高いので、還元ポイントが上限1万円になることも想定される。

 

 ヨドバシのポイントを生かして大きな買い物を考えている人は、3月1日までに購入した方が得策となるかもしれない。これはあくまで私見なので責任は負えませんが。

おカネをかけずに「パチンコとは何か」を知る方法

ギャンブル依存症、パチンコなら実機を購入して自宅で遊ぶ手も

 

 日本には、ギャンブル依存症の疑いがある人は、男女あわせると推計320万人で、成人の3.6%におよぶ。カジノ大国といわれる米国やオランダの1.9%を抜き、世界でもダントツに高い数字――ギャンブル依存症の実態と対応策に関する記事「高収入エリート夫が自己破産…自覚なく進行するギャンブル依存の恐怖」が1月1日付けのダイヤモンドオンラインに掲載された。

 

            f:id:kisaragisatsuki:20200101205910p:plain

 新年早々、何とも暗い話で恐縮だが、成人の3.6%という数字はバカにはできない。100人規模の会社であれば、4人ぐらいは依存症の疑いがあることになる。

 

 記事では、ギャンブル依存症の疑いがある人の中で、「パチンコ・パチスロが中心」と答えた人は約8割にのぼる、と書かれているが、パチンコ・パチスロの店舗自体は出玉規制の強化などもあって長期的に減少傾向にあるので、コアなファンが大金をつぎ込んでいるのだろう。

 

        f:id:kisaragisatsuki:20200101132945p:plain

 公的なギャンブルである競輪、競馬などの比率が低いのは、パチンコ・パチスロが通勤途中の駅チカなどにあって、手軽に立ち寄れるという立地が影響していると思われる。

 

 ギャンブル依存症については、過去にも「ギャンブル依存症の引き金、「ビギナーズラック」が危ない」としてダイヤモンドオンラインで取り上げているが、この記事では厚生労働省の調査として「男性のおよそ9人に1人は依存症の傾向がある」と書かれている。

 

 依存症になる原因はすでに判明していて、ドーパミンという脳内の快楽物質。「耐性」や「禁断症状」などを引き起こし、他の依存症と同じように「囚われの身」となってしまう。

 治療方法は、他の依存症と同じように専門治療施設や民間施設で行っている「認知行動療法プログラム」や「自助グループGA」などだ。

 どちらも自分一人では解決できないことを前提にしている。それほど治療がやっかいな「病気」なのだ。

 

 ちなみに私はパチンコ・パチスロの店舗にすら行ったことはないのだが、実際にパチンコをやらずに「あれこれ言うのは無責任」だと感じていたので、いろいろ考えた末に、数年前にYahooオークションで売られているパチンコの実機を購入してパチンコを数日間集中的に遊んでみた。

 

 ちなみに私が購入したのは「ルパン3世」という台の中央に液晶画面のある機種で、パチンコ玉が4000個、正面のガラス盤を開けるカギも付いていた。価格は交渉の結果送料込みで1万円だった。

 

 さて、商品が届いた当日は「かなり重い」実機を自室に運んで、電源をつなぎ早速遊び始めた。確かに正面の動画が動いて、様々な演出があって、絵柄がそろって「当たり」となった時の「興奮する」という感覚は何となく理解できたような気がする。

 ただ、感じたのは「パチンコ玉を打っている」というよりは「くじを引いている」というもので、しばらくするとハンドルを握って画面を見るだけと言う単純な作業に飽きてしまった

 

 「当たり」が出やすくなれば面白くなるのではないかと思い、ガラス盤を開けて釘の間隔を広げて、球が入りやすくして遊んでみたが、これは完全な逆効果だった。

 ほぼすべてのパチンコ玉が入賞穴に入ってしまうので、今度はスリルが感じられないのである。正面の画像は回りっぱなしで、大当たりの回数も激増して、思い切り「つまらなく」なってしまった

 

 という訳で、実質3日、合計で10数時間ぐらい遊んだら飽きてしまったので、届いたときの梱包状態に戻してYahooオークションで売却、送料着払いで約1万円で売ることができた。

 

 以上の経験をもとに言えるのは、パチンコを実際に経験して楽しんでみたいと思うなら、パチンコ屋に行くよりも安く済むということ。友人の話では一回の投資額が1万円ぐらいになることは珍しくないそうなので、2,3回行けば数万円になってしまう。しかもビギナーズラックをきっかけに依存症にかかる危険性もある。これではパチンコを「体験」するには、おカネもリスクも大きすぎる。

 

 今回の私の経験では、最初の実機購入への投資額1万円は、遊んだあとすぐに売却したことで同じ市場価格で売れたので、かかった費用はほぼゼロ。しかもパチンコの内部の仕組みを確認したり、釘を操作するという通常ではできない行為まで実践できたし、想像以上に「単純作業な遊び」だということも学んだ。Yahooオークションでは、今でもパチンコやパチスロの実機が数千円から購入できるようだ。

 

 あえて人様にパチンコを推奨する訳ではないが、実態を何も知らずにただ「パチンコ悪玉論」を振りかざすのは、ちょっと説得力に欠けるようにも思う。やり方次第でおカネをかけずに「パチンコとは何か」を知る方法があるのだから。

【注目商品】風呂場を物干し場として使える収納式ロープ

最大耐重荷25kgと実用性は十分、工具も不要

 

 新年あけましておめでとうございます。

 今年も本ブログご閲覧のほどよろしくお願いいたします。

 

 さて、第二弾となる今回【注目商品】は、雨の日でも風呂場で洗濯物を乾かすために使うための便利なグッズを紹介します。

 

 最近のマンションは浴室乾燥機が標準装備されていることも多く、風呂場でも洗濯物を干すことができるようですが、戸建てでは中心に窓を開けて、換気扇で空気を入れ替えるのが主流で、洗濯物を乾かすことを想定してはいません。

 築年数の古いマンションのユニットバスにも換気扇しかない物件もまだ多いと思います。

 

 ビジネスホテルや最近一部の戸建てのユニットバスには以下の画像のような簡易型の収納タイプの「物干しロープ」が設置されています。

   f:id:kisaragisatsuki:20191231183315p:plainf:id:kisaragisatsuki:20191231183416p:plain

 ただしこの商品「耐荷重」が5kgしかないんですね。これだと濡れたシャツと下着を掛けたらもう重さが制限値に達してしまいます。あまり家庭用としてはあまり実用性がありません。

 

 ここで紹介するのは、下図の収納型の新しいタイプの「物干しロープ」です。

 使い方はほぼ同じで、使用する際にボックスからロープを引き出して、対面側のフックに引っ掛けるだけ。

 大きな違いは「耐荷重」で、こちらは25kgと簡易型の5倍。これだと一般的な洗濯ばさみがいっぱい付いた四角いハンガーでも2つは掛けられます。

           f:id:kisaragisatsuki:20191231183324p:plain

 耐荷重が大きいので、浴室に穴あけの工事が必要かと思うかもしれませんが、付属してくる専用の接着剤を使えば問題ありません。接着剤を乾かすのに多少日数はかかりますが。もちろん、より確実に取り付けるのであれば壁にネジを埋め込んで使うこともできます。

 

 私がこれを発見、購入したのは昨年の春頃でしたが、発売早々に人気が出たのか、今ではAmazon類似商品がいくつも販売されています。

 好みのデザインや価格で選んでもいいとは思いますが、大事なのは「耐荷重」。似たような構造の商品でも10kgしか掛けられない商品もあるので、注意した方がいいです。

 

 ちなみに価格は私が購入したころはこの商品、4000円弱でしたが今では3000円台前半まで下落しているようです。

 浴室の換気扇に替えて取り付ける専用の乾燥機と、物干し用のポールを購入する手もありますが、工事費込みで10万円近い出費になるはずです。3000円なら仮に想像以下の仕様だったとしても、あまり悔いは残らないかと。

 雨の日に洗濯物を干すことができない家では、結構重宝すると思います。

 

 

ようやく4Kテレビを購入――地デジの画質アップが想像以上

パナソニックの4K液晶テレビTH-49GX855

 

 かねてより当ブログで、現在の43型プラズマテレビが壊れかけているので、買い替えを検討中と書いて生きたが、先週末にようやく購入、自宅に設置された。

 

 機種は、狙い通りのパナソニックのTH-49GX855。幅は約110cmなのでこれまでの43型とほぼ同じで、画面を取り囲む黒い「枠」が細くなって、その分「液晶」置き換わった格好。そのせいか、あまり画面が大きくなったという印象は受けなかった。  

f:id:kisaragisatsuki:20191230104945p:plain

Panasonicの製品サイトから

 画質については、自発光方式の「プラズマ」からバックライト照射の「液晶」と言うことで輝度や反応に不安もあったが、やはりこの10年の液晶の技術進歩は大きく、違和感は感じなかった。

 

 特に地上波デジタル放送については、パナソニックのテクノロジー[素材解像度検出 4Kファインリマスターエンジン][AI HDRリマスター]の効果が大きく、画像の解像度が高まった気がする。

 4K放送も見てみたが、まだ民間では放送されている番組が少ないという事情もあって、NHKBS4Kしか見ていないが、「綺麗か」と聞かれれば確かに綺麗だが、「衝撃的」いうまでの破壊力はなかったというのが正直な感想

 

 これは4K放送への期待度が高すぎたという側面もあるだろうが、個人的には地上波デジタル放送の画質向上効果が想像以上に大きくて、その差があまり感じられなかったのかもしれない。

 

 あと気付いた点としては、Amazonプライムビデオがリモコンの「マイアプリ」ボタンに登録できるので、ワンタッチで鑑賞できること、また、スマートスピーカーにスキルを登録することで、ダイニングにあるAmazonEcho Showから「アレクサ、テレビをつけて!」と言うだけでリビングにあるテレビの電源が入るのは便利だと感じた。

 

 一方、想定外だったこともあった。それは家庭用ゲーム機Wiiが接続端子の変更で繋がらなくなったこと。テレビの接続端子がすべて「HDMI」と「USB」になってしまったので、Wiiのピン端子接続が不可能になった。

 もっとも、同様の悩みを抱えている人は多いようで、AmazonではWiiの出力端子をHDMIに変換するアダプターが数百円から販売されている。これを使えば接続の問題は解決するし、アナログからデジタルとなることで多少の画質アップも望めるかもしれない。

 

 肝心の価格だが、とある家電量販店で交渉して税込み152,000円だった。もちろんポイントは別途。

 店頭に掲げられていた値札では175,800円だったので、まずは納得できる価格だと思う。

 

実に面白い「婚活アプリ」の実践法――グラフの表記には課題も

年末年始に「婚活」市場が盛り上がる背景事情(東洋経済オンライン)

桜井 まり恵 : 恋愛・婚活アドバイザー

 

 結婚相手を探す「婚活スタイル」が、昔の「お見合い」から、職場などでの「自由恋愛」を経て、「婚活パーティー」「婚活アプリ」に移りつつあるという話は、耳にしたことがあるが、12月28日の東洋経済オンラインに「年末年始に『婚活』市場が盛り上がる背景事情」というタイトルの記事が掲載された。

   

               f:id:kisaragisatsuki:20191228090020j:plain

 記事では前半で、「12月から各婚活サービスの会員数は増加し、1月まで増加傾向は続きます」と年末年始に盛り上がる事情を解説、結婚相談所の会員数の推移と、マッチング率の推移のグラフを表示して、その傾向を「目に見える形」で表現している。

 ちなみにマッチング率というのは、婚活アプリで「いいね!」を送った相手に「ありがとう」を返信した状態のことで、「いわば婚活の最初の1歩」だそうだ。

 

 確かにグラフを見ると、会員数もマッチング率も大きく伸びているように見えるのだが、このグラフについては一言注文がある

 それは「縦軸」の目盛りの数値がないこと。例えば「会員数の推移」だが、グラフからは2.5倍以上に増加しているように見えるが、実数値は127%となっている。

              

 この違いは、縦軸の目盛りを記載しないために、縦軸の下限を「ゼロ」とするか「一定の固定値」にするかでグラフの印象が大きく変わってくるのことに起因する。これは次の「マッチング率」の推移」のグラフにも当てはまる。

              

 ビジネスの現場でも、データの変化を強調するために縦軸を「工夫」することはあるが、その前提条件に「目盛りを明記する」のは必須条件だ。記事にあるようなグラフの使い方では、読者に誤解を与えかねない。

 

 話を元に戻すと記事後半では、婚活が年末年始に盛り上がる要因として「時間の余裕」を挙げている。

 確かにまとまった休日を取れて、帰省して旧友にあったり、親戚一同が集うこととなれば、「結婚」がテーマになる可能性はある。親しかった友人が地元の知り合いと結婚して、本人の醸し出す雰囲気に「伴侶、子供を持つ家庭」を感じるとなれば、自分の結婚への意識も変わることは十分に考えられる。

 

 また、スマホでSNSが当たり前の世代にはデジタルな「婚活アプリ」がへの親和性が高いことも影響しているだろう。

 50代の私にとって意外だったのは、婚活アプリでは「複数人と同時のやり取りが可能な場合が多い」という実情。

 個人的には「同時並行」で結婚話を進めるのは違和感があるが、よく考えてみれば実際に会う前に「チャット」や「メール」でのやり取りをするのは、お互いの「人となり」の一部を知るには手軽だし、双方確認のうえで実際に合えば、会話もスムースに始まるのは当然かもしれない。時代は変わったものである(何とも年寄りくさい表現だが)。

 

 記事では具体例として、「実際に婚活サービスを使うときの“コツ”」を4つ紹介している。

 具体的には、相手を探す段階では、

  1. 「いいね!」をためらわない
  2. プロフィール作成で手を抜かない

 マッチング後では、

  1. 初回は昼間のカフェで1時間のデートを
  2. うまくいかない場合、切り替えの気持ちも大切に

 の4点だ。

 個人的な感想を言えば、マッチングまでは「積極的に」、マッチング後は「冷静に」といった感じだろうか。

 

 著者は最後に「婚活は、何よりも自分で行動を起こさないと始まりません」としている。

 婚活サービスが多様化し、婚活へのハードルが下がった状況で、結婚への意志が多少でもあるなら、「婚活アプル」は検討すべきひとつの手段ではあるだろう。もっとも、私自身が婚活アプリを利用したことがないので、説得力に欠けるのは十分に自覚しているが。

 

 しかも今年の年末年始は、30日の月曜日を休めばサラリーマンには9連休の人も多いはず。婚活アプリを利用するしないに関わらず、自分の結婚観を見直すいい機会ではあるはずだ。