如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

日本人に必要なのは「投資教育」よりも「税と社会保障への理解」

「投資教育」以前に日本人に必要不可欠な金融リテラシーとは何か

大江英樹:経済コラムニスト

 

 金融庁のレポートを引き合いにした老後資金2000万円不足報道をきっかけに、当初の政府の年金運用の責任を問う方向から、最近ではレポートの内容を冷静に整理する識者が相次いだことで、その議論の方向は「足りなくなるおカネをどうやって工面するのか」という現実的な問題に移行しているように見える。

 

 こうしたなか、7月23日のDIAMOND onlineに「『投資教育以前に日本人に必要不可欠な金融リテラシーとは何か」という記事が掲載された。

 著者は、経済コラムニストの大江英樹氏。長年野村証券で資産運用相談を手掛けてきたプロのアドバイザーである。

 

 今回のレポートも含めて、巷では「日本人にはおカネに対する知識が足りない。投資養育を充実すべき」という意見が多いように感じるのだが、著者はこれに異論を唱えている。

 

 大江氏は「大事なのは単に投資のやり方を教えるのではなく、自分で判断することの大切さ、そのための必要な勉強の仕方を教えることの方が大切」としている。

 

 確かに世間で「投資」に関係する啓発本を見ると、「長期」「分散」「積み立て」といったキーワードや、投信の運用コストなど費用の軽減などの運用テクニックの一部を紹介するものが大半だ。そこには「自分の老後資金がどう運用されているのかを理解し、それを踏まえて自分で考えて将来に備える」という発想が欠けている。

 

 大江氏は、日本人は所得税などが年末調整で自動的に計算されるので、確定申告している人を除けば「税と社会保障」に無関心であることが、結果としてお上の年金頼りになっているとしている。ようするに、自分の将来の資産計画を真面目に考える必要性をあまり感じていないのだ。

 

 現実問題として、政府・自治体に占める社会保障費は年々増加しており、今後高齢化が一段と進み老齢年金の負担は増え、かつ将来は非正規雇用の期間が長かった勤労者を中心に「無年金」「低年金」の人々が拡大するのは確実。そのしわ寄せは「生活保護費の激増」に直結する。

 この問題には「社会保険料の引き上げ」か「受け取り年金額の引き下げ」しか解決策はない。この事態を冷静に考えれば「自分の老後は政府をあてにできない。自分で何とかするしかない」という危機感を持たざるを得ないはずだ。

 

 「金融教育」も必要だが、その前に、税や社会保険の知識という「投資の前提条件を理解する方が先」という大江氏の意見に賛成したい。

日本マイクロソフトの「外向き」週休3日制度

マイクロソフトが「週休3日制」を導入するわけ(東洋経済オンライン)

 

 日本マイクロソフトが国内の全オフィスを対象に金曜日を有休の「特別休暇」とし、期間限定ながら週休3日制を導入するという記事「マイクロソフトが『週休3日制』を導入するわけ」が723日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 週休3日制度自体は、記事にもあるようにヤフーなどが育児や介護を抱える従業員を対象に導入しているし、古くは20年以上前に東武百貨店が当時の大卒の売り手市場で新卒を確保するために導入したこともあったと記憶している。

 

 今回の日本マイクロソフト社の制度導入の目的は、同社の業務執行役員が「週休3日制というより週勤4日制だ」説明しているように、「短い時間で働き、よく休み、よく学ぶ」ことだ。

 

 私のような普通のサラリーマンだと、「平日に全社休業にして顧客対応は問題ないのか」とか「金曜日が休みになってもその分他の平日の残業が増えるだけ」といったイメージを持つように思うが、同社は「Office製品で仕事の生産性を高めることを事業の軸としてだけに、週4日でも週5日と同じ成果が出せることを自社で証明したい」と解説、従業員の福利向上といういわゆる「内向き」な対応に加え、その効果を顧客に知らしめたいという「外向き」な志向があることが大きなポイントだろう。

 

 この考え方を裏付けているのが、週休3日を「他企業での職場体験」や「教職員向けのプログラミング研修」といった社外活動メニューを用意していることだ。

 どちらも自己成長や社会貢献といった名目はあるが、日本マイクロソフトへの理解や知名度向上を狙っていないとは言い切れないだろう。

 まあ、家族旅行への補助制度もあるらしいので、純粋な休息も推奨はしているようだが。

 

 個人的には、週休3日制度は日本の企業が既存の有給休暇すら完全には消化しきれていない状況では、休みを強制することはやむを得ない制度のひとつだとは思う。

 

 ただ今回の日本マイクロソフトの制度導入で気になったのは、3日の休みを「自己成長」「社会貢献」に使った人と、「私生活の休暇」に使った人で、勤務評価に差が生じないかということだ

 休暇とはいえ「有休」である。記事には記載がないが、休みの利用方法について何らかの申請が必要となれば、人事担当部署としては週休を「旅行補助」よりも「社会貢献」に使った人を評価するという可能性も捨てきれない。

 

 まあ、ここまで疑り深く考えてしまうのは私が根っからのドメスティック企業に在籍しているからで、米系資本の日本マイクロソフトにはそういった「裏読み」は不要、あくまで業務時間内の仕事での実績評価ということであれば、週休3日制度は素直に評価したい。

 

「てんや」で思わず「うん」と言ってしてしまった女子店員の「注文のお願い」

 私は基本的に買い物の際に、ショップの店員からの「なにかお探しですか?」といった声掛けには「いいえ結構です」と対応するタイプである。

 

 必要があれば、店内に入ってすぐに店員さんに「これはどこにあります?」と聞くし、そこに購入予定の商品とは異なるが、似ていて気になるモノがあれば、その違いなどの特徴をその場で店員さんに聞いて確かめることはある。

 いずれにせよ声かけの主導権はこちらが持っている。店員からのオススメなどを頼りにすることはない。

 

 ところが、このポリシーに反して主導権を店員さんに取られてしまうという「失態」を最近演じてしまった。

 

 場所は、JR中央線のとある駅に近い天丼の店「てんや」である。

 いつもは入り口のレジカウンターで、普通の「天丼(並)」を頼んで、すぐに席に向かうのだが、この日のレジ担当はいつものオバサンではなく、若くてかわいい女性だった。これだけなら大した話ではないのだが、注文後にその女性が「今が旬の生姜も頼んでくれるとうれしいな!」と満面の笑みでお願いしてきたのである。

 

 いつもであれば普通に相手にしないのだが、この「若い女性」「うれしいな!」「満面の笑み」の3点同時攻撃を受けて、あろうことか私は「じゃあ、それも」と即答してしまったのである。これは私にとっては平時の行動はないと言っていい。

 席に座ってすぐに原因を考えたのだが、もっとも大きかったのは「・・・も頼んでくれるとうれしいな!」という言葉だったと感じた。

 

 よくある店員からのオススメでは「・・・はいかがでしょうか」のように、店員がお客に対して「注文」を要請している。それは単に客の希望を聞くという立場だ。

 ところが今回の女性店員は、「頼んでくれるとうれしいな」という表現を使うことで、注文すると目の前の店員さん(くどいようだが若い女の子)が喜んでくれる、というオマケが付いてくるのだ。

 

 悪く言えば「媚を売っている」訳だが、今回、私自身はなぜか不快感は感じなかった。店員さんの行為全体に不自然さがなく、会話を楽しめたという感触があったためだろう。

 

 その後、「てんや」には同じ店や他の店舗にも入ったが、こういった「お誘い」を受けることは全くなかった。推測するに、彼女の行動は「本部」や「支店長」などの指示によるものではなく、あくまで個人の機転と判断で行ったものだろう。

 

 店舗運営マニュアルに沿った行動が大原則の外食チェーン店で、このような機転の利いた行動を起こせるアルバイトがいるのに驚くとともに、外食産業も「まだまだ捨てたものではない」かもしれないと感じた。

 

 

 

  

 

シニアには「ガラケー」「タブレット」の2台持ちがオススメ

 もはや小学生から高齢者まで、持っていない人が少なくなったような感まである「スマホ」。

 確かに、通話、メール、SNS、カメラなどの機能をコンパクトにまとめたスマホは利用価値が高い。特にカメラ機能はコンパクトカメラ市場を直撃、販売台数は2010年のピーク時に1億台を超えていたが、2017年には1000万台を割り込んだ模様。カシオなどは市場から撤退している。

 

 こうした「スマホ」全盛の世の中だけに、あえて私と同年代のシニア層には「スマホ1台」よりも「折り畳み式のガラケーとタブレットの2台持ち」を推奨したい(正確にはガラケーは淘汰されており、見た目は同じだがネット機能の充実したガラホになる)。

 

というのは、スマホでも情報収集は可能だがいかんせん画面が小さすぎるのである。これは老眼の進んだシニア層には結構キツイものがある。タブレットなら画面は最低でも8インチはあるので見やすさのレベルが違う。

 ちなみに私はガラケーにストラップを付けて首から下げて、胸ポケットに入れている。これだと着信にすぐに対応できるし、電話をかける相手はほぼ決まっているので、登録されたボタンひとつで発信できるのは、その都度アプリを立ち上げる必要があるスマホより確実に便利だ。

誤操作の可能性も低いし、防水、防塵、耐衝撃などの機能も充実しているので、スマホのように手元から落として液晶のガラスを割ってしまうような事故もまずない。

 

 加えて、タブレットには「一覧性」という優位がある。例えばビジネスマンに強い人気がある「日本経済新聞電子版」だが、スマホだとニュースが2本しか表示されない(スクロールは可能だが)。一方タブレットだとPC版と同じように本文の一部を含めたニュース見出しが6本、画面右側には速報の見出しが10本表示される。

 

 個人的には、本来新聞の価値は掲載される記事をその重要度から取捨選択、並び替えてくれることにあると思っている。

 この取捨選択と並び替えの結果が2本のニュースではやや物足りない。トップページで16本の各記事を比較することで、その日の出来事の全体像が見えてくるというメリットは捨てがたい。

 

 私が日経電子版以外でよく見るのは、雑誌の定額読み放題「dマガジン」だ。週に20冊以上の雑誌を購読しているが、ページをそのままの大きさで閲覧するのは「スマホ」では無理だろう。ちなみに私が利用しているのは画面の大きさが10.1インチのタブレット。携帯するにはやや大きいが、バッグに入れてしまえばあまり負担にはならない。

 

 また、情報収集でもグラフや数表といった「画像」を見る際には、画面の大きさは確実に優位に働く。

 

 2台持ちをすると「携帯するのに荷物になる」という意見もあるが、スマホでも電池対策で携帯バッテリーを携行する人が増えており、実際の負担はあまり変わらない。しかもガラケーなら充電なしで一週間、タブレットでもスマホよりは電池がもつ。

 

ちなみに気になる利用価格も、私の場合はガラケーが「どこでもいつでもかけ放題」が付いて月額約1000円、タブレットもSIMフリーを買って格安SIMを使っているのでほぼ同額。端末の価格自体はタブレットの方がスマホよりも高そうに見えるかもしれないが、5万円ぐらい出せば機能は十分だ。iPhoneの上位機種のように10万円以上するタブレットはほとんど見かけない。

 

 というわけで、画面の小さいスマホでも十分に利用できているならば構わないのだが、老眼の進んだシニアが無理にスマホを使うのはオススメできない。

 機能面でも価格面でも十分スマホに対抗できる「2台持ち」を検討することを強く勧めたい。

 

小型ミニバンはシエンタよりもフリードがオススメ

11月のモデルチェンジで安全装備はさらに差が拡大か

 

 最近、小型ミニバンの双璧トヨタ「シエンタ」とホンダ「フリード」に関する記事を立て続けに見た。シエンタは昨年9月にマイナーチェンジをして、2列シートの「FUNBASE」が追加、安全装備が機能追加された。一方のフリードは2016年のフルモデルチェンジ以来性能に関わる変更はない。

 

 ということで、この時期に両車のオススメないしは紹介記事が出る理由がよくわからないのだが、個人的には今乗っているミニバンがやや大きいので、次の車検でどちらかに乗り換える予定なので、両車の動向には関心を寄せている。

 

 まずは715日付けでビジネスジャーナルに掲載された「トヨタのミニバン「シエンタ」は今が買い時!価格割安&燃費良い小回り利く!」という記事。

 内容はシエンタをほぼ絶賛するというもの。どういう意図があるのかわからないが、執筆者の渡辺陽一郎氏には「ユーザー目線に立った解説」を評価していただけに、ちょっと違和感があった。

 記事の最後ではフリードとの比較にも若干触れているが、気になったのはシエンタには「今後2,3年は大きな変更はない。購入を先延ばしにする必要はなく今が買い時」としていること。

 確かに昨年の仕様変更で安全装備に昼間の歩行者検知機能が追加になったとはいえ、フリードにはある時速30㎞以上で適切な車間距離を保つためACC〈アダプティブ・クルーズ・コントロール〉機能がない。一時停止などの標識認識機能もだ。

 逆にシエンタが安全装備関係で優れているのはオートマチックハイビームぐらいだ。

 

 クルマ情報誌ベストカーの最新号の「遠藤徹の地獄耳スクープ」に書かれているが、フリードは11月にマイナーチェンジして安全装備を改良する予定だそうだ。おそらく軽のNBoxには装備されている「後方誤発進抑制機能」「オートマチックハイビーム」が追加されるだろう。しかも最近流行りのSUVテイスト車も設定されるらしい。トヨタは現行のままで競合力を維持できるのだろうか。

 

 もうひとつ指摘したいのが、荷室の床面地上高について。渡辺氏はシエンタは505mmと低いとしているが、2列シートのフリード+はわずか335mmである。大きくて重い荷物を載せることが多い荷室で地上高170mmの差は大きい。

 

 もうひとつの記事は、同じく17日付けのWebの「くるまのニュース」で、タイトルは「国産ミニバン買うならどっち?トヨタ『シエンタ』とホンダ『フリード』の違いとは」だ。

 こちらでは、室内長はフリードが3045mm(シエンタは2535mm)と余裕がある一方で、3列目のシートの快適性はシエンタの方が自然だとしている。

 一方、燃費ではハイブリッド車をJC08モードで比較(フリードには新基準WLTCモードの記載がない)し、シエンタ優位と軍配を上げている。

 もっともこちらも安全性能については、「同党の先進安全パッケージを標準装備している」と記載、先に述べたような両車の性能に違いがあることに触れていない点で不十分だ。

 記事では、両車はスペックやパッケージでは優劣がつけづらく、実際の使い勝手や乗り心地が最終的な決め手になる、としてどちらにも軍配を上げていない。

 

 以上の2つの記事を読んだ結論としては、11月のフリードのモデルチェンジを見てから判断しても遅くない、ということだ。

 加えて言えば、同じクラスのホンダ・フィットは今秋にフルモデルチェンジするのが確実視されている。最大の注目点はハイブリッドの仕様がこれまでの1モーターのi-DCDから2モーターのi-MMDになること。i-MMDは低速域はモーターだけで走り、高速域ではエンジンだけで走行するので燃費が格段によくなる。

 フィットとフリードは兄弟車のようなものなので、フィットに搭載された最新機能はフリードにも搭載されるだろう。フリードの次回のフルモデルチェンジ(2020年の見込み)まで待つというのが現時点ではもっとも「正解」かもしれない。

 

 ただシエンタの安全装備には同情すべき点もある。それはひとつ上のクラスのミニバンになるヴォクシー、ノアなどにもACC〈アダプティブ・クルーズ・コントロール〉機能、標識認識機能はいまだに搭載されていないのだ。

 商品戦略的にも、下位のモデルに先に先進機能を装備するという選択肢はトヨタにはないだろう。安全装備では相対的に不利な現時点でも販売台数ではフリードに勝っている訳で、あえて上位ミニバンを不利な設定にする必要性はない。

 

 とはいえ今年、来年とフリードの攻勢を受けて、シエンタが販売を維持できるかも不透明だ。

 折しも、自動ブレーキについては、「国際欧州経済委員会(ECE)が2019212日、日本や欧州連合(EU)など40カ国・地域で「衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)」の導入を義務付ける規則の原案に合意したと発表しました。自動ブレーキの義務化については、2020年はじめに運用開始予定となっています」と伝えられるように、装備の標準化と機能向上はもはや不可欠とも言える状況になっている。

 

 トヨタも、ミニバンを含めて安全装備の拡充については、グループ企業を含めて全社的に計画を前倒しにするのは避けられないはずだ。

 

もはや常態化した東京メトロ東西線の混雑度、解決策は先送り

やはり1位は東西線、首都圏の鉄道『最新混雑率』(東洋経済オンライン)

小佐野 景寿 : 東洋経済 記者

 

 昔といっても20年ぐらい前だが、東京メトロ東西線の門前仲町駅から数分のマンションに賃貸住まいしていたことがある。

 確かに都内への通勤には便利だったが、その混雑度には辟易していた。当時は「まあ人気路線だし仕方がない」と諦めていたが、この異様な混雑ぶりはまだ健在らしい。

 719付けの東洋経済オンラインに「やはり1位は東西線、首都圏の鉄道『最新混雑率』」という記事が掲載された。

 

 記事によれば、混雑度1位は昨年に続き、東京メトロ東西線・木場→門前仲町間の199%。「すっかり日本一の混雑路線として知られるようになってしまった」(記事より)。

 国交省の目安によると、混雑率200%は「体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める」レベルらしいが、これは乗客の実感とは相当かけ離れている。

 

 私の個人的な体験から言えば、まず電車に乗り込むこと自体が困難。ドアの前の位置取りと乗り込むタイミング次第では乗れないことも珍しくない。

 加えて、乗れたとしても身動きが取れないというレベルですらない。周囲の人に圧迫されて電車の揺れ次第では「片足のつま先で立って身体を支える」体制になることも多かった。

 しかも、大手町方面に向かう場合、途中の駅で乗降時間がかかるのと、運行本数が多いので途中の駅間で一時停止することが常態化。つま先立ちの姿勢を続けるのは非常にツラかった。

 

 決して運行本数が少ないわけではない。電車が発車すると同時に次の電車が駅に滑り込んでいた。むしろこれ以上本数は増やせないのではないかと思う。

 

 記事では、「列車増発を可能にする飯田橋―九段下間の折り返し設備の整備」が計画されているらしいが、今年発表した中期経営計画では当初2019年度の予定が2025年度に先送りされたらしい。

 東西線の混雑度No.1の悪名はもうしばらく続きそうだ。

 

 最後に当時、千葉の「浦安」駅から門前仲町の1つ手前「南砂町」駅のオフィスに通勤していた友人の「悲劇(喜劇?)」を紹介したい。

 乗車駅の浦安は、線路が隣り合わせなのでホームは別々にあり、乗り込む際には進行方向に向かって左側からなのだが、降りる南砂町は島形ホームなので、開くドアは右側だ。ちなみに南砂町は基本住宅街(当時)なので降りる乗客はほとんどいない。

 何が言いたいかというと、「乗ったはいいが降りれない」のである。これは本人から聞いたのだが、降りるには秘策があって「降ります!」と声を上げながら、コマのように回転しながら乗客を掻き分けてドアに向かうのがコツだそうだ。真偽のほどは定かではないが。

批判するならまずは「元ネタ」を確認すべき

20・30代が「老後までに2000万円」を貯める方法(東洋経済オンライン)

 

 最近はやや下火になったが、金融庁の発表した報告書の記載をきっかけに「老後資金2000万円不足問題」がクローズアップされた。

 例によって、マスコミや一部の政治家が一部のキーワードを切り取って煽ったというのが実態に近いが、この経緯と貯蓄手法の現実について、7月18日付けの東洋経済オンラインに「20・30代が「老後までに2000万円」を貯める方法」という記事が掲載された。

 

 記事は大きく分けて2段構成で、前半が金融庁の報告書について。後半が20・30代がどうやって資金を貯めるか、という内容になっている。

 

 そもそも金融庁の ワーキング・グループの報告書「高齢社会における資産形成・管理」について言えば、本文36ページ、付属文書を足しても51ページしかない。
 5分では読めないが、20分あれば十分な分量。今回の一件では当初メディアを中心に「老後資金が2000万円足りない」に批判が集中したが、その後まともな識者が相次いで論点を整理したことで、参院選ネタとしてはさほど炎上していない。


 今回の件をきっかけに、マスコミや評論家は批判する前に「まずは元ネタを確認」という基本に立ち返る姿勢を再考すべきだろう。

 報告書の内容に関する主張ついては、読み手の立場によって意見は分かれると思うので、ここでは言及しない。

 

 後半の20・30代の積立NISAを利用した資産形成の提案については、基本的な考え方には同意したい。長期投資が老後の資金確保に有効であることは間違いないからだ。

 ただ、「毎月の積み立て額上限は3万3000円です。これを年平均3.5%の利回りで積み立て投資を続けると、30年の積み立て期間で2000万円になります。20代、30代の人なら十分に手が届く話です」というのはどうだろうか。 

 20代なら手取りが20万円台というは普通だろうし、そこから1割以上を貯蓄に回すのは、なかなか厳しいと思う。30代になれば、結婚、子供、新居で支出は増加、給料の増加分を上回ることになり、やはり貯蓄は難しいだろう。

 あと、積立NISAについて言及するなら、あと数年で期限がくる通常のNISAについても延長を言って欲しかった。個人的には年間投資額上限が40万円の積立NISAよりも、120万円のNISAの方に魅力を感じている。投資対象商品の選択肢も通常NISAの方が圧倒的に広い。

 あえて言えば、どちらも制度を恒久化し、さらに両方同時に利用できるように(現在は片方のみ)してもらえるとありがたい。

 

 気になったのは、この記事の執筆は「鈴木 雅光 : JOYnt代表」となっているのだが、内容には「コモンズ投信の渋澤健会長」の発言しか書かれていないこと。「対談」でも「インタビュー」でもない訳で、これなら渋澤氏の名前だけ出せば十分ではないのだろうか。

編集長によれば東洋経済は「いい会社」らしい

『週刊東洋経済』編集長が転職しない理由(PRESIDENT Online)

 

 経済誌のWebサイトPRESIDENT Online716日付けで「『週刊東洋経済』編集長が転職しない理由」という記事が掲載された。

 現在の週刊東洋経済の編集長である山田俊浩氏と書評サイトHONZ代表の成毛眞氏の対談というスタイルなのだが、なにゆえ「東洋経済オンライン」ではないのかという疑問は別として内容は面白い。

 

 山田氏は前職の東洋経済オンラインのPVをそれまでの月3500万から2億まで引き上げた大功労者で、急成長期には他の雑誌に掲載されたインタビューも読んだ記憶がある。この時も「なぜ東洋経済オンラインではないのか」という疑問を持ったが。

 

 記事の内容は、肝心のPVを大きく引き上げた実績や仕組みなどには触れておらず、東洋経済新報社の会社組織の解説(社風や給料など)が主体。

 キモはタイトルにもあるが、山田氏が他社からスカウトの引き合いを断って会社にとどまったのは、ひとつの組織で頑張ったことで待遇や環境がよくなったことが主因という内容だ。

 

 まあこれだけだと本人も言うように単なる「結果論」なのだが、山田氏の見解のなかで「なるほど」と感じたのは「(会社を辞めるのに)感情的には動かない方がいい」とうコメント。不本意な人事異動などがあると本人は「大事件」のように感じても、周囲は「それほど大したことだと考えていない」という指摘は、この春異動になって現在の仕事や職場に違和感や不満を感じている人には価値のある指摘だと思う。

 

 記事では成毛氏が最後にまとめているが、会社そのものの調子がいいときは留まった方がよくて、逆に会社や業界の状況が悪化している場合は辞めた方がいい、というのが転職するかどうかの判断の基本だろう。

 とはいえ、大した新商品でもないのに、営業マンへの過激なノルマで急成長しているブラックな職場環境の企業も少なくないので、一概に「好業績=やめない方がいい」とはならないが。

 まあ、私がその会社を判断する基準としては「仕事場の壁に営業成績の個人別ランキングを張り出している会社は真っ先に回避」すべきだ。

 なぜならこれは「人間」を工場の生産ラインの「機械」と同様に扱っている証拠だからだ。つまり「営業成績の悪化=機械の効率低下=さっさと置き換え」という行動をとることが明白なのだ。

 

 昨今の終身雇用制度の崩壊や大企業の大規模リストラなどを背景に巷でもよく言われることだが、「会社」ではなく「個人」で通用するスキルを磨き続けることは、イザという時の「保険」になる可能性は高い。これは自分への自戒も込めてだが。

投票せずに政治に文句を言う資格はない

与党改選過半数確保との見通しが圧倒的とはいうものの・・・

 

 21日に投開票される参議院選挙への関心が低いようだ。産経・FNN合同世論調査によれば「参院選投票「必ず行く」55% 若年層は3割、投票率低い懸念」とのことで、「前回の平成28年参院選(54・70%)を上回るかが焦点となる」とのこと。

 日本の選挙の投票率が低いのは今に始まったことではないのだが、今回は特に世間の注目度、特にマスコミの報道が控えめな印象を受ける。

 

 個人的には、低い失業率や大卒の高い就職率もあって、若年層を中心に「特に現状に不満はない」との意識が強いほか、突如浮上した「老後資金2000万円不足」問題も、その後に識者などの発言で「従来から年金で老後がすべて賄えるという認識が間違っている」とか「世帯の状況によって不足額は異なる」という“当たり前”の内容が前面に出ることで、内閣の不支持率を上げるまでの影響はなかったことも影響しただろう。

 

 また、各メディア(特に新聞)の情勢分析で、「与党、改選過半数の勢い…参院選・読売情勢調査」、「自公、改選過半数の勢い 参院選、朝日新聞序盤情勢調査」、「後半情勢・毎日新聞総合調査 改憲、3分の2厳しく 1人区で自民防戦」、「改憲勢力3分の2に迫る 参院選情勢調査 与党、改選過半数の勢い(日経)」などと、与党が3分の2は微妙ながら、過半数を確保するのがほぼ確定なことも、関心を低くしているかもしれない。

 

 とは言え、このような状況を見て「どうせ自分が投票してもしなくても関係ない」などと選挙に行かないのは間違っている。

 ほかの投票しない理由に「投票したい候補者がないから」というのがあるが、そもそも「絶対にこの候補者に入れたい」といつも考えているのは、一部の特定政党の支援者ぐらいである。

 投票する理由として「この人に活躍してほしい」であれば良いが、大体の選挙では多数を占める無党派の人にはそんな候補者はいないもの。過去の国政選挙で起きた「連合」や「日本新党」、東京都議選の「希望の党」といった一時的な「風」が吹けば話は別だが。今や選挙の風向きは最近の株式相場と同じ「凪」である。

 

  要するに何が言いたいかといえば「投票の基準はよりマシな候補者に入れる」が相対的に正しい。あまり気は進まないかもしれないが、投票しないよりはマシだ。

 そもそも国会議員の選挙に投票しない人には、その後の国政に文句を言う資格はないだろう。すくなくとも「選んだ候補者が思ったような活動をしてくれない」ぐらいの政治的なクレームを付ける資格は、投票したからこそ得られると思う。

 

 もっとも私の住む東京の定数は6で、立候補者は20人いるのだが、候補者のポスターが貼ってある看板には10人ぐらいしか出ていない。

 まあ「泡まつ候補」は何人いてもあまり関係ないのだが。

 

最近相次ぐ自然災害への警戒を怠らぬように

短い日照時間、豪雨、地震など不気味な自然現象が多い気がするのだが・・・

 

 これは気のせいかもしれないのだが、6月以降どうも異常気候や地震など自然災害が相次いで起きているような気がする。以下のデータは気象庁のWebサイトから引用したもの。

 

 まず「日照時間」。東京都心は7月14日、18日連続で「日照時間3時間未満」となった。東北や関東で低温による農業被害が出た1988年を超え、61年の統計開始以来の最長記録を更新した、とのこと。

 この影響でプールは閑古鳥が鳴き、野菜は高騰を始めている。このまま日照りが少なければ、夏休みの海や山のレジャー全体に影響が出るだろう。

 野菜の高騰が続けば、消費者は購入を控えるし、場合によってはレストランの価格にも影響が出るかもしれない。

 

 次が「地震」。6月18日に山形県沖でマグニチュード(M6.7)が起き最大震度は6強となっかほか、7月に入ってからは、4日に北海道根室半島南東沖でM4.2、5日には静岡県伊豆地方で(M3.3)、8日に神奈川県西部で(M4.3)、 11 日には新潟県下越地方で(M4.2)の地震が起きている。ちなみに最大震度はいずれも「3」

 近年では熊本などでも大地震は起きているし、もはや全国どこで発生してもおかしくないような気がする。

 

 最後が「豪雨」。4日の九州南部豪雨では、宮崎と鹿児島両県で計110万人以上に避難指示が出たが、土砂災害で2人が亡くなっている。

 6月下旬からの総雨量は宮崎県えびの市1089・5ミリに達したそうだ。3日に鹿児島県を襲った記録的な大雨は、平年の7月1か月分の雨量を僅か1日で超えた。

 ちなみに東京都区部の豪雨対策だが、最大でも一時間に50ミリ程度までしか対応していないという話を聞いたことがある。江東区など海抜以下のゼロメートル地帯が含まれる地域でこのレベルの豪雨が来たらどうなるのだろうか。

  

 先日、地元の消防団を30年以上勤め上げて市議会議員になった人の話を聞く機会があったのだが、「災害時に頼りになるのは、自分で自分を守る『自助』が7割、家族や隣人の世話になる『共助』が2割、自治体の援助『公助』は1割以下しか期待できない」とのことだった。

 いずれにせよ、自然災害による「停電」「断水」「道路破損」などに備えて、防災情報や飲食料の備蓄などを改めて見直しておいた方がよさそうだ。

 

 ちなみに、4月22日に当ブログでは「【連休企画】大型連休期間中に自宅の地震対策を確認しよう! 」として記事を書いています。ご参考まで。