如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

財政健全度は重要だが、判断材料として工夫が欲しい

「財政健全度」全国トップ400自治体ランキング(東洋経済オンライン)

東洋経済『都市データパック』編集部

 

 これから新居を構えようと考えている人にとっては、駅からの距離や通勤時間の短さ、もしくは託児所の有無などを優先的に考える人が多いようだが、実は住むことになる自治体の現状、特に財政力というのは大きな要因だ。

 

 というのも、自治体の財政が厳しければ社会福祉や公共施設の充実に使える予算は少なく、子育て世代や高齢者にとって切実な問題になるからだ。

 ちなみに私の住む自治体では予算の半分以上を社会福祉(民生費)が占めている。

 

 こうした自治体の財政力に注目した自治体のランキングの記事「『財政健全度』全国トップ400自治体ランキング」が7月30日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 前回、同様のランキング記事「本当に就職に強い大学」ランキングトップ150」について、「ビジネス誌のランキング、コンマ数パーセントの違いに意味はあるのか」という内容をブログで書いたが、今回もランキングの仕様自体は同じである。

 

 まあ客観的な数値データを使って機械的に計算するのだから仕方がないのだが、それでも今回のランキングを見ると、都市部の偏差値では58台以下に各10市以上が軒並みランク入り、しかも丁寧にも小数点以下3位まで掲載している。計算結果の数値と自治体のランク評価は必ずしも一致しないと思うのだが。

 

 ただ評価できるのは、冒頭のランキングの解説を上位2市に限定していて、先の就職率ランキングのように「こじつけ」のようなランク順位の解説をしていないこと。

あくまで素材を提供し、判断は読者にまかせるという姿勢は評価していいと思う。

 

とはいえ、このランキングを見てその「傾向」をすぐに把握できる人は少ないはずだ。

個人的な感想を言えば、都道府県別のランク入りした「市」の数と、その都道府県の市の総数に占める割合などがあれば、より状況を理解しやすかったと思う。

 

 加えて言えば、上位200位だけではなく、下位200位も掲載してほしかった。ちなみに東洋経済が販売している「都市データパック」には全市町村の下位ランキングも掲載されているようだ。

 データをあまり公開すると売り上げに影響するのを危惧しているのだろうが、住宅購入予定者にとっては「マイナス情報」も貴重なデータである。

 次回のランキングでは東洋経済新報社の「良心」に期待したい。

65歳までは再雇用で、その後は個々の資質で働くのが現実

「管理職は年長者の役割」の発想を壊すべき理由(東洋経済オンライン)

高城 幸司 : 株式会社セレブレイン社長

 

 高齢者の雇用問題について、なんとも理解しがたい不可解な記事「『管理職は年長者の役割』の発想を壊すべき理由」が7月29日の東洋経済オンラインに掲載された。
 
 記事で気になった点は2つ。一つ目は「60歳の定年を迎えて新たな働き口を見つけることが簡単ではない」という指摘。
 もうひとつが、「『管理職は年長者の役割』という認識から脱却できていない職場がいまだに多数、存在」という考察だ。
 
 一つ目の60歳以降の雇用問題だが、厚生労働省の「平成 28 年高年齢者の雇用状況集計結果」によれば、再雇用、定年延長などの高年齢者雇用確保措置を採用している企業は、全企業の99.5%、従業員31人以上の企業に限れば、99.7%が導入済である(p3)。これはすでに全国すべての企業が60歳以上のシニアを雇用していることになる。確認しておくがこれは平成28年の調査である。

 著者の言う「60歳を超えると仕事が見つからない」というのは明確に事実と反する。というか周囲を見れば再雇用で働いている人が多い現実には嫌でも目に付くはずなのだが。
 
 もうひとつの「管理者は年長者」という認識。
 これはいつの時代の話だろうか。もはや50代で役職定年となってそれまでの管理職の肩書がなくなるのは当然だし、そうなれば過去の部下が上司になるのは当たり前である。
 同業他社との競争が厳しくなる中で、最新の業界動向を把握し、適切な判断力、素早い行動力で仕事をこなせなければ、管理職は勤まらない。
 「年長者だから管理職」などという人事を行っている企業に未来はない。
 
 役職定年や再雇用制度は導入当初、対象者の間で「肩書がない」「部下がいない」「給料が下がった」などと不満の声も多かったが、では会社を辞めることができるのかと自問した結果、住宅ローンや教育費などの出費と、自分のキャリアで現在の給与を維持できる転職できるかどうかを天秤にかけて、大多数は結局自社での再雇用にとどまっているはずだ。
 60歳超えの再雇用者の多くは、すでに65歳までの収入確保のための「受け身の労働」と割り切っている。

 もっともこの従業員のモチベーションのなさ、つまり生産性の低迷要因を解消すべきというのは確かに大きな問題である。
 
 この記事で意味があるのは、最後にある「チェンジ・マネジメントと呼ばれる手法で、社会情勢の変化や、競争環境の変動などを全社員に容認させる」という指摘で、世代間の仕事に対する意識の格差を解消させることだろう。これには相応の効果が見込めそうだ。
 もっともシニア雇用者の労働意欲向上への取り組みは、今に始まった話ではないのだが。
 
 ただ個人的には、大卒新卒で入って55歳の役職定年まで33年間、60歳の定年まで38年間ひとつの会社で働いてきたなら、その後は自分のキャリアや特性を生かして「第二のキャリア」に取り組んだ方が人生は充実したものになるのではないかと考えている。
 
 折しも厚生労働省は平成31年の「モデル就業規則」で副業・兼業について、これまでの原則禁止の立場から「勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」(労働基準法第68条)とし、その方向性を180度転換している(第14章)。
 
 また経団連やトヨタ自動車などの幹部などは、「終身雇用制度は維持できない」という姿勢を打ち出しており、新卒で大企業に入ったら一生安泰という時代はとうに過ぎ去った
 
 この「副業容認」「終身雇用制度の廃止」の2点から見えてくるのは、第二のキャリアを自分で探せというメッセージだ。
 最近ではNEC、日本ハムなど名だたる大企業が45歳から早期退職を募集している。サラリーマンが第二の人生を考えるのに「早すぎる」ということはなさそうだ

不動産は「負動産」を経て「腐動産」へ

マンションを「マイナス180万円」で売る…越後湯沢の“腐動産”で起きている不気味な事態(ビジネスジャーナル)

牧野知弘/オラガ総研代表取締役

 

 越後湯沢などバブル期のリゾートマンションなどが無価値となり、売り手が手数料を支払って売却するマイナス価値の不動産、すなわち「負動産」という言葉がかなり一般的になった。この言葉を定着させる決め手になったのは今年2月に出版された「負動産時代(朝日新書)」だろう。
 これまでは親の残した大きな遺産として遺族間の「相続」ならぬ「争続」とまで言われることも多かった不動産が、現在では互いに押し付けあう「廃棄物」扱いとなっている。
 とまあ、ここまでは割と世間に知られた話である。
 今回紹介するのは、その後の世界を解説するビジネスジャーナルの7月27日付けの記事「マンションを「マイナス180万円」で売る…越後湯沢の“腐動産”で起きている不気味な事態」である。
 著者は、大手デベロッパーなどで不動産開発を手掛けた経歴などを持つ「街」の専門家・牧野知弘氏である。
 要約すると、無価値の不動産を抱えて売るに売れず、固定資産税の支払いに困窮する持ち主から買い取り専門業者が180万円を受け取って不動産を買い取るというスキームだ。
 記事にあるが「買い手の業者は日本のスキー場の現実に疎い中国人などに売りつけてトンズラ」という仕組みらしい。
 
 ここで登場するのは「元々の不動産の所有者」、「代金を受け取って不動産を買い受ける業者」、「その物件を投資目的で買う中国人」の3者である。
 
 まず、最初の所有者はしぶしぶ支払っていた固定資産税(取り立てが厳しいので滞納はまず不可能)、と滞納していた可能性が高い管理費・修繕積立金の支払い義務から「今後は」解放されるメリットはある。ただし買い取った不動産業者がまじめに移転登記をすればの条件付きだが。
 
 次の買い取り業者。聞いた話では滞納分として受け取った管理費等を管理組合に支払うことはないらしい。そのうえ、その筋の人たちを住まわせて住民を威嚇、住みにくい環境にしたうえで組合の総会にも出席して自分たちに都合のいい議題を通そうと画策しているらしい。
 狙った物件を集中して買い取る傾向もあるらしく、総会での発言権も強くなっているそうだ。こうして自分たちの利益の最大化を目指す。ちなみに巷の噂では、この買取を専門に行っているのは特定の一社でマスコミの取材には一切応じないらしい。
 
 最後が新たな所有者となる中国人。東京から新幹線で1時間、あこがれの日本にリゾートマンション、しかも価格は破格といった「売り文句」に乗せられて、購入する向きは少なくないだろう。
 買った当初はうれしさ100%かもしれないが、湯沢のリゾマンは築30年は経過している。必要となる2回目の大規模修繕を行うのは費用面で不可能だろう。ということはエレベーター、給排水管、外壁・屋上の漏水工事などのメンテナンスはされず、一時的にですら住むには不適格となる可能性が高い。
 
 こうなるとおカネにシビアな中国人はすぐに売却に動くはずだ。当然ながら事情を知っている日本人は当然のこと、口コミで状況を知った中国人も買わないだろう(一部の東南アジアのにわか富裕層は買うかもしれないが)。所有者は利用もしないし、売れない物件の管理費や固定資産税を支払う気はさらさらないはず。しかも海外在住なので税務署が課税するのも困難だ。
 ただでさえ管理対策に四苦八苦している管理組合にとっては、中国人所有者の行動は老朽化したリゾマンの存続にトドメを差すことになるだろう。
 
 著者は、買い取り業者を「何も知らない新たな客に高値で売りつけるバクテリアたちだ。その先買った中国人がどうなろうと知ったことではない。ここに老朽化していく腐動産の成れの果てがある」と結論付けている。
 
 と、ここまでは納得のいく展開である。不動産開発の専門家でもあり論理的には正しい。ただ湯沢のリゾマンがすべてこのような運命を辿るとは限らないだろう。
 実際比較的小規模な老朽化マンションでは最近解体、更地として売却されたし、地元でも駅から離れた郊外や都会から老後に移住している人もいて、住民のために買い物などのための巡回バスも運行されているらしい。一部には外国人向けの民泊に活用しようという動きもある。
 
 また、ただ同然で物件が手に入るなら、高齢者向けのマンションとして建て替えもしくはないしは大規模修繕をデベロッパーが手掛けるという手もある。
都心では高額な老人ホームを除けば、手ごろな高齢者向け施設の整ったマンションは少ないので、東京まで一時間なら価格次第で一都三県でも郊外のバス便マンションよりも人気が出る可能性はある。
 
 ただ、越後湯沢の街全体として見れば、経済的な効果は限定的だろう。高齢者はスキーをやらないし冬場の寒さは堪える、夏は夏で近場の山や高原などの観光地に行く気力も体力も乏しい。
 
 現時点で参考になるのは、栃木県の鬼怒川温泉郷だろうか。一部の宿泊施設は全国でチェーン展開するバスツアーを主力とする格安観光客でにぎわっているが、水害などで被災した老舗旅館などはそのまま無惨な「廃墟」として放置されている。
 こうした混然一体となった街並みが、経済活動が低迷を続けながら越後湯沢でも展開されると個人的には想像している。

うなぎの広告チラシから見えるスーパー「外税方式」へのこだわり

 10月1日の消費税率の10%への引き上げが確定、実施まで残り2カ月あまりとなった。

 

 以前(5月4日)に当ブログで「ネット通販はヨドバシとAmazonで事足りる。税別価格表示の他社は論外」という記事で、ネット通販業界における「内税先行組」と「外税維持組」の現状を紹介した。

 

 時期的にもいい機会なので、今回は今日(7月27日)に朝刊の折り込み広告に入っていたスーパーマーケットのチラシを検証したい。折しも今日は「土用の丑の日」なので、うなぎの販売広告の価格表示から比較する。

 

 まずは最大手のイトーヨーカドーから。

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イトーヨーカドー

 外税方式を採用。目立つ内税価格表示の約10分の1ぐらいの大きさ(高さが5分の1、幅は2分の1)で「税込」として価格が記載されている。控え目な表示ではあるが、「白抜き」で比較的見やすい


 つぎは西友。

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西友

 こちらは「外税」の価格表示だけで、税込み価格の表示がない。あくまで(税別)と表記しているだけである。消費税分は顧客が自分で計算しろという意味だろうか。不親切と言えなくもない。

 

 次は住友商事系列のサミット。

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サミット

 こちらも「外税方式」だが、「本体価格」の表記とは別にそれより大きいフォントで「参考税込価格」と表示している。その価格表示の大きさも本体価格(税抜価格)と比べて、6分の1(高さは3分の1、幅は2分の1)とイトーヨーカドーよりも大きい。

 

 最後が、地元では比較的評判のいいヤオコー。

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 こちらも税抜き価格。税込み価格も表示はされているが、大きさは税抜き価格の18分の1程度(高さ6分の1、幅3分の1)で今回税込み価格を表示しているスーパーでは最も小さい。

 特徴的なのは、税込価格を小数点以下2位まで表示していること。消費者としては「そんな細かい数値を出すよりも税込み価格自体をもっと大きくしろ」と言いたくなる。

 

 さて、以上スーパー4社の消費税表示方式を見てきたが、「イトーヨーカドー」と「サミット」は他社に比べてまだ良心的、「西友」は税込み価格の表示すらない時点でアウトである。「ヤオコー」は必要最小限の情報を仕方なく表示している感がアリアリだった。

 

 今回の調査を踏まえて、全体の感想をいえば「外税方式」を採用している時点で、すでに小売り業界としては「周回遅れ」とも言える。

 おそらく本社や店舗責任者は、ライバルを意識して「内税」に切り替えられないのだろう。折り込みチラシをパラパラと見る主婦にとっては、「見た目の安さ」にまずは気を惹かれるからだ。

 自分のところだけ「税込」にして、他店と同じ商品を扱っているのに「見た目が高く見えてしまうことで、顧客に逃げられるのを避けたい」という売り手の気持ちは理解できる。

 しかし、見た目の安さをエサにして、お客の関心を惹くというのは、消費者が税率引き上げなどで税への理解度を高めて、チラシの意図と本音を見破った場合、マイナスに作用する可能性もある。

 私個人の感覚で言えば、今回の「西友」のように税込み価格を表示しないというのは論外である(この点ではドン・キホーテ、ユニクロなども同じ)。

 

 現在まで物凄い勢いで業容を拡大し、スーパーなどの実店舗の顧客を奪ってきたネット通販業者を見ればその差は歴然だ。

 主力商品は違うとはいえAmazon、ヨドバシカメラは完全な「内税」方式、楽天も「内税」に切り替えつつある。ネット通販で「外税」を前面に出しているのは身近な家電量販店ではビックカメラぐらいだ。

 

 その家電大手2社だが、直近の売上高ではビックカメラが8440億円(2018年8月期)で、ヨドバシカメラは6,931億円(2019年 3月期)と1500億円近い差があるが、1店舗当たりの売り上げで見ればビックカメラの205億円に対して、ヨドバシカメラは301億円と約1.5倍の売り上げを出している。

 ヨドバシは非公開企業なので売り上げの詳細は不明だが、ビックカメラの実店舗との品ぞろえに大差はないはずで、ネット通販「ヨドバシ・ドット・コム」が相当な比率を占めていることは間違いなさそうだ。このヨドバシ・ドット・コムの2大売り文句が「全国無料配送」と「全商品内税表示」なのである。

 

 そもそも消費税の価格表示については、消費税法第六十三条で「事業者は(中略)当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない」と定められており、税込み表示が大原則なのである。

 とはいえ税率の変更による店の負担も大きいので、2021年3月までは特例として「税別表示」も認めるというだけの話なのだ。

 

 10月から消費税率は一部生活必需品を除いて「切りのいい数字」10%になる。これを機会に是非ともスーパー業界にも「外税」方式を採用してほしいところだ。

 ただ、その軽減税率(8%)の対象となる生鮮食料品などがスーパーの得意分野であることを考えると、残念ながら今後も「外税」が続くと考えた方がよさそうだ。

 

 

ビジネス誌のランキング、コンマ数%の違いに意味はあるのか

 日ごろから仕事の関係もあって、東洋経済、ダイヤモンド、プレジデントなどを出勤途中にタブレットで購読している。

 昔は駅の売店で購入していたが、今はdマガジンという月額定額制のアプリを契約してタブレット端末で読んでいる。一部の記事は電子版では提供されないようだが、主だった記事はたいてい読めるので問題はない。

 私の場合、一週間に大体20冊以上は読むので、これで月額432円は激安である。ちなみにバックナンバーも読める。

 

 話がズレたが、今回のテーマは「ビジネス誌の手掛ける各種ランキング」である。

 別にランキングそのものを意味がないと否定する訳ではないのだが、どうもランキングの傾向を分析して、意味のあるデータだということを論じるために執筆する記事の内容にやや無理があるのではないか、という話だ。

 このブログでは、東洋経済オンラインの記事を紹介することが多いので、今回も7月26日に掲載された「本当に就職に強い大学」ランキングトップ150」を例として用いる。

 

 就職率ランキングは、大学進学希望者や親御さんにとっても関心は高いはずで意味はあるし、その傾向を解説することでさらに付加価値が高まることに異存はない。

 その意味で上位3校が私立の工業系大学(金沢、愛知、大阪)を独占したことについて、記事で「背景には・・・製造業や建設業の求人数が多いことがある。研究や論文執筆などを通して、・・・社会人に求められるPDCAサイクルを回す能力が身に付いている点も就職率が高くなる要因だ」という分析はとても参考になる。

 

 ただ、個人的に疑問を感じるのは、それ以外のランキング傾向分析だ。例えば、MARCHのランキングを紹介する記事では、トップが52位の青山学院大学で、5位が立教大学の125位だが、就職率の差は4.1ポイントしかない。70位以上の格差がこの2校にあるとは思えないのだが。

 ちなみにランクの上位を見ると、就職率95%台に11校、94%、93%に各9校、92%に20校、91%に23校、90%に18校がランクインしている。

 1パーセントの範囲に20校以上がランクするのに、そのコンマ以下のランク付けにどの程度の意味があるのだろうか。少なくともランクの序列を大学の評価にするには無理がある。もっともそのような見方をする東洋経済の読者は少ないとは思うが、このランキングを引用するであろうSNSなどでは順位が独り歩きする可能性は捨てきれない。

 

 とはいえ、さずが東洋経済というか面白い分析もあった。それは記事の最後にある「前年の実就職率を下回ったのは、比較可能な143大学中、49校で34%に上る」という記事内のランキングには出ていない昨年実績との比較。

 記事では、売り手市場は続くが「今後、実就職率が伸び悩む大学がさらに増えるかもしれない」と結んでいる。

 

 個人的には、絶好調ともいえる大卒新卒の就職環境において、逆に就職率が下がった大学の取り組みなどその要因を知りたいと思った。

 

 

結婚願望の強い女性の「あぁ勘違い」がひどすぎる

300万人男余りでも女性が婚活で苦労する背景(東洋経済オンライン)

荒川 和久 : ソロもんラボ・リーダー、独身研究家

 

 もともと結婚願望は女性の方が強い、というのは昔から言われていたように思うが、具体的なデータで検証、婚活市場では男性が大量に余っていても、女性が苦労している現状を解説する記事「300万人男余りでも女性が婚活で苦労する背景」が725日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事は大きく分けて2つで構成され、前半は女性が苦労しているデータとして、結婚意欲という点では20歳から39歳までの年齢ではすべて女性の方が結婚意欲が高く、この意欲の違いを34歳までの未婚男女の人口差に当てはめると男女差は約9万人、20代に限れば25万人の「女余り」となると解説している。

 

 とまあ、ここまでは納得のいく内容ではあるのだが、後半を読んでやや気分が悪くなった。

 というのは、記事では2018年の内閣府の「少子化社会対策に関する意識調査」が引用されているのだが、ここで女性の希望する相手の年収の希望は全体の72%が400万円以上を希望する一方で、未婚男性の実際の年収分布は81%が400万円未満なのである。

 ちなみに、同じビジネスマンを対象とする雑誌プレジデントのWebPRESIDENT Online724日でも「婚活女性の6割が"最低700"という理由」という、これまた相手に非現実的な高い年収を希望する記事が掲載されている。

 

 ここで個人的に言いたいのは、女性は自分の年収を棚に上げて相手に生活資金の補完を依存するという身勝手さである。ちなみに記事にはないが内閣府の同調査によれば、女性の年収分布で最も多いのは100万円未満の30.3%で、300万円以下は合計で73.3%に達する(P66) 

 

 家事手伝いや非正規雇用などで女性の年収水準が引き下げられているのは想像できるが、自分の収入の足りない分をそのまま結婚相手に要求するのでは、押し付けらる男性はたまったものではない。「稼ぐ」だけの昔と違って、現在は「家事」「育児」もこなして当たり前の結婚に魅力を感じないのは理解できる。

 

 記事では、女性が相手の対象年齢を50代に引き上げても女余りは逆に拡大すると分析し、結婚意欲の薄い未婚男性にターゲットを絞って、彼らをどうやったら動かせるかの「お膳立て」を考えるほうが得策、と提案している。

 

 はっきり言って、この結論は「未婚男性」をバカにしているとしか思えない。「お膳立て」が何を意味するのか不明だが、そもそも年収という基本スペックが弱いのだから、未婚男性の結婚意欲を高めようとするなら、それ相応の他のスペック向上努力(容姿、性格、教養など)が不可欠だろう。

 そしてこうした努力を惜しまない女性は、そもそも年収100万円レベルに安住しているはずがない。言い方は悪いが結局のところ結婚願望が強い女性が結婚できないのは「大いなる勘違いと分不相応の高望み」ということに集約されるのだ。

 

 このような勘違い女性と結婚して得られるメリットは男性にはほとんどない。むしろ生活水準が低下するデメリットは必至だろう。

ちなみに内閣府の調査では、「どのような状況になれば結婚すると思いますか」という設問に対して、男性の回答では「経済的に余裕ができること」が 46.7%とトップで女性と比べて有意に高くなっている(p41)。(ただし対象は結婚意向のある人なのであくまで参考)

 

結婚願望のある女性の喫緊の課題は、収入の向上を第一に基本スペックの向上であり、そして無意味な高望みを諦めることである。

日本人に必要なのは「投資教育」よりも「税と社会保障への理解」

「投資教育」以前に日本人に必要不可欠な金融リテラシーとは何か

大江英樹:経済コラムニスト

 

 金融庁のレポートを引き合いにした老後資金2000万円不足報道をきっかけに、当初の政府の年金運用の責任を問う方向から、最近ではレポートの内容を冷静に整理する識者が相次いだことで、その議論の方向は「足りなくなるおカネをどうやって工面するのか」という現実的な問題に移行しているように見える。

 

 こうしたなか、7月23日のDIAMOND onlineに「『投資教育以前に日本人に必要不可欠な金融リテラシーとは何か」という記事が掲載された。

 著者は、経済コラムニストの大江英樹氏。長年野村証券で資産運用相談を手掛けてきたプロのアドバイザーである。

 

 今回のレポートも含めて、巷では「日本人にはおカネに対する知識が足りない。投資養育を充実すべき」という意見が多いように感じるのだが、著者はこれに異論を唱えている。

 

 大江氏は「大事なのは単に投資のやり方を教えるのではなく、自分で判断することの大切さ、そのための必要な勉強の仕方を教えることの方が大切」としている。

 

 確かに世間で「投資」に関係する啓発本を見ると、「長期」「分散」「積み立て」といったキーワードや、投信の運用コストなど費用の軽減などの運用テクニックの一部を紹介するものが大半だ。そこには「自分の老後資金がどう運用されているのかを理解し、それを踏まえて自分で考えて将来に備える」という発想が欠けている。

 

 大江氏は、日本人は所得税などが年末調整で自動的に計算されるので、確定申告している人を除けば「税と社会保障」に無関心であることが、結果としてお上の年金頼りになっているとしている。ようするに、自分の将来の資産計画を真面目に考える必要性をあまり感じていないのだ。

 

 現実問題として、政府・自治体に占める社会保障費は年々増加しており、今後高齢化が一段と進み老齢年金の負担は増え、かつ将来は非正規雇用の期間が長かった勤労者を中心に「無年金」「低年金」の人々が拡大するのは確実。そのしわ寄せは「生活保護費の激増」に直結する。

 この問題には「社会保険料の引き上げ」か「受け取り年金額の引き下げ」しか解決策はない。この事態を冷静に考えれば「自分の老後は政府をあてにできない。自分で何とかするしかない」という危機感を持たざるを得ないはずだ。

 

 「金融教育」も必要だが、その前に、税や社会保険の知識という「投資の前提条件を理解する方が先」という大江氏の意見に賛成したい。

日本マイクロソフトの「外向き」週休3日制度

マイクロソフトが「週休3日制」を導入するわけ(東洋経済オンライン)

 

 日本マイクロソフトが国内の全オフィスを対象に金曜日を有休の「特別休暇」とし、期間限定ながら週休3日制を導入するという記事「マイクロソフトが『週休3日制』を導入するわけ」が723日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 週休3日制度自体は、記事にもあるようにヤフーなどが育児や介護を抱える従業員を対象に導入しているし、古くは20年以上前に東武百貨店が当時の大卒の売り手市場で新卒を確保するために導入したこともあったと記憶している。

 

 今回の日本マイクロソフト社の制度導入の目的は、同社の業務執行役員が「週休3日制というより週勤4日制だ」説明しているように、「短い時間で働き、よく休み、よく学ぶ」ことだ。

 

 私のような普通のサラリーマンだと、「平日に全社休業にして顧客対応は問題ないのか」とか「金曜日が休みになってもその分他の平日の残業が増えるだけ」といったイメージを持つように思うが、同社は「Office製品で仕事の生産性を高めることを事業の軸としてだけに、週4日でも週5日と同じ成果が出せることを自社で証明したい」と解説、従業員の福利向上といういわゆる「内向き」な対応に加え、その効果を顧客に知らしめたいという「外向き」な志向があることが大きなポイントだろう。

 

 この考え方を裏付けているのが、週休3日を「他企業での職場体験」や「教職員向けのプログラミング研修」といった社外活動メニューを用意していることだ。

 どちらも自己成長や社会貢献といった名目はあるが、日本マイクロソフトへの理解や知名度向上を狙っていないとは言い切れないだろう。

 まあ、家族旅行への補助制度もあるらしいので、純粋な休息も推奨はしているようだが。

 

 個人的には、週休3日制度は日本の企業が既存の有給休暇すら完全には消化しきれていない状況では、休みを強制することはやむを得ない制度のひとつだとは思う。

 

 ただ今回の日本マイクロソフトの制度導入で気になったのは、3日の休みを「自己成長」「社会貢献」に使った人と、「私生活の休暇」に使った人で、勤務評価に差が生じないかということだ

 休暇とはいえ「有休」である。記事には記載がないが、休みの利用方法について何らかの申請が必要となれば、人事担当部署としては週休を「旅行補助」よりも「社会貢献」に使った人を評価するという可能性も捨てきれない。

 

 まあ、ここまで疑り深く考えてしまうのは私が根っからのドメスティック企業に在籍しているからで、米系資本の日本マイクロソフトにはそういった「裏読み」は不要、あくまで業務時間内の仕事での実績評価ということであれば、週休3日制度は素直に評価したい。

 

「てんや」で思わず「うん」と言ってしてしまった女子店員の「注文のお願い」

 私は基本的に買い物の際に、ショップの店員からの「なにかお探しですか?」といった声掛けには「いいえ結構です」と対応するタイプである。

 

 必要があれば、店内に入ってすぐに店員さんに「これはどこにあります?」と聞くし、そこに購入予定の商品とは異なるが、似ていて気になるモノがあれば、その違いなどの特徴をその場で店員さんに聞いて確かめることはある。

 いずれにせよ声かけの主導権はこちらが持っている。店員からのオススメなどを頼りにすることはない。

 

 ところが、このポリシーに反して主導権を店員さんに取られてしまうという「失態」を最近演じてしまった。

 

 場所は、JR中央線のとある駅に近い天丼の店「てんや」である。

 いつもは入り口のレジカウンターで、普通の「天丼(並)」を頼んで、すぐに席に向かうのだが、この日のレジ担当はいつものオバサンではなく、若くてかわいい女性だった。これだけなら大した話ではないのだが、注文後にその女性が「今が旬の生姜も頼んでくれるとうれしいな!」と満面の笑みでお願いしてきたのである。

 

 いつもであれば普通に相手にしないのだが、この「若い女性」「うれしいな!」「満面の笑み」の3点同時攻撃を受けて、あろうことか私は「じゃあ、それも」と即答してしまったのである。これは私にとっては平時の行動はないと言っていい。

 席に座ってすぐに原因を考えたのだが、もっとも大きかったのは「・・・も頼んでくれるとうれしいな!」という言葉だったと感じた。

 

 よくある店員からのオススメでは「・・・はいかがでしょうか」のように、店員がお客に対して「注文」を要請している。それは単に客の希望を聞くという立場だ。

 ところが今回の女性店員は、「頼んでくれるとうれしいな」という表現を使うことで、注文すると目の前の店員さん(くどいようだが若い女の子)が喜んでくれる、というオマケが付いてくるのだ。

 

 悪く言えば「媚を売っている」訳だが、今回、私自身はなぜか不快感は感じなかった。店員さんの行為全体に不自然さがなく、会話を楽しめたという感触があったためだろう。

 

 その後、「てんや」には同じ店や他の店舗にも入ったが、こういった「お誘い」を受けることは全くなかった。推測するに、彼女の行動は「本部」や「支店長」などの指示によるものではなく、あくまで個人の機転と判断で行ったものだろう。

 

 店舗運営マニュアルに沿った行動が大原則の外食チェーン店で、このような機転の利いた行動を起こせるアルバイトがいるのに驚くとともに、外食産業も「まだまだ捨てたものではない」かもしれないと感じた。

 

 

 

  

 

シニアには「ガラケー」「タブレット」の2台持ちがオススメ

 もはや小学生から高齢者まで、持っていない人が少なくなったような感まである「スマホ」。

 確かに、通話、メール、SNS、カメラなどの機能をコンパクトにまとめたスマホは利用価値が高い。特にカメラ機能はコンパクトカメラ市場を直撃、販売台数は2010年のピーク時に1億台を超えていたが、2017年には1000万台を割り込んだ模様。カシオなどは市場から撤退している。

 

 こうした「スマホ」全盛の世の中だけに、あえて私と同年代のシニア層には「スマホ1台」よりも「折り畳み式のガラケーとタブレットの2台持ち」を推奨したい(正確にはガラケーは淘汰されており、見た目は同じだがネット機能の充実したガラホになる)。

 

というのは、スマホでも情報収集は可能だがいかんせん画面が小さすぎるのである。これは老眼の進んだシニア層には結構キツイものがある。タブレットなら画面は最低でも8インチはあるので見やすさのレベルが違う。

 ちなみに私はガラケーにストラップを付けて首から下げて、胸ポケットに入れている。これだと着信にすぐに対応できるし、電話をかける相手はほぼ決まっているので、登録されたボタンひとつで発信できるのは、その都度アプリを立ち上げる必要があるスマホより確実に便利だ。

誤操作の可能性も低いし、防水、防塵、耐衝撃などの機能も充実しているので、スマホのように手元から落として液晶のガラスを割ってしまうような事故もまずない。

 

 加えて、タブレットには「一覧性」という優位がある。例えばビジネスマンに強い人気がある「日本経済新聞電子版」だが、スマホだとニュースが2本しか表示されない(スクロールは可能だが)。一方タブレットだとPC版と同じように本文の一部を含めたニュース見出しが6本、画面右側には速報の見出しが10本表示される。

 

 個人的には、本来新聞の価値は掲載される記事をその重要度から取捨選択、並び替えてくれることにあると思っている。

 この取捨選択と並び替えの結果が2本のニュースではやや物足りない。トップページで16本の各記事を比較することで、その日の出来事の全体像が見えてくるというメリットは捨てがたい。

 

 私が日経電子版以外でよく見るのは、雑誌の定額読み放題「dマガジン」だ。週に20冊以上の雑誌を購読しているが、ページをそのままの大きさで閲覧するのは「スマホ」では無理だろう。ちなみに私が利用しているのは画面の大きさが10.1インチのタブレット。携帯するにはやや大きいが、バッグに入れてしまえばあまり負担にはならない。

 

 また、情報収集でもグラフや数表といった「画像」を見る際には、画面の大きさは確実に優位に働く。

 

 2台持ちをすると「携帯するのに荷物になる」という意見もあるが、スマホでも電池対策で携帯バッテリーを携行する人が増えており、実際の負担はあまり変わらない。しかもガラケーなら充電なしで一週間、タブレットでもスマホよりは電池がもつ。

 

ちなみに気になる利用価格も、私の場合はガラケーが「どこでもいつでもかけ放題」が付いて月額約1000円、タブレットもSIMフリーを買って格安SIMを使っているのでほぼ同額。端末の価格自体はタブレットの方がスマホよりも高そうに見えるかもしれないが、5万円ぐらい出せば機能は十分だ。iPhoneの上位機種のように10万円以上するタブレットはほとんど見かけない。

 

 というわけで、画面の小さいスマホでも十分に利用できているならば構わないのだが、老眼の進んだシニアが無理にスマホを使うのはオススメできない。

 機能面でも価格面でも十分スマホに対抗できる「2台持ち」を検討することを強く勧めたい。