如月五月の「ちょっと気になる話題、情報を斜め視線から」

ちょっと気になる話題、情報を斜め視線で解説

今の時代に必要なのは「分裂気質」のトップだ

「天才を潰し秀才を重用した」日本型組織の末路(東洋経済オンライン)

茂木 誠 : 駿台予備学校 世界史科講師

 

 仕事の内容によって、必要な資質は異なるがそれは優劣を示すものではない。という趣旨の記事「『天才を潰し秀才を重用した』日本型組織の末路」が815日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事では、前半で「臨機応変に高度な判断を要求される政治家や経営者に向いているのは「分裂気質」であり、反対に、与えられた任務を黙々とこなす官僚、大企業の社員に向いているのは「執着気質」。これは役割分担であり、どちらが優れている、という話ではない」と解説している。

 

 記事後半は、この前提に基づいて日本軍が太平洋戦争で敗戦した原因を解明しているが、それについては記事を読んでいただくとして、ここでは前半部分に焦点を当てたい。

 

そもそも、その時代に即した人物が要職になるかどうかで、その運命が決まるのは、「国家」だけの話ではない。会社経営でも同じである。

 

例えば、ソニーの井出元会長も、雑誌のインタビューによれば、上司への反発が原因で一時は倉庫番のような閑職に追いやられていたそうが、その後ヒラの取締役から14人抜きで社長に昇格、ノートPCVAIOやデジタルコンテンツに舵を切って、業績を回復させた。もっとも、その後業績悪化で退陣したが、それも時代の趨勢というものだろう。

 

また、JAL(日本航空),JDI(ジャパンディスプレイ)のように半官半民による経営責任の押し付け合いで、経営トップが交代しても業績回復ができなかった(困難な)企業も多い。

 

会社経営で、一番多い多いのは、事業を立ち上げた創業者を、2代目が大きく発展させるものの、3代目が放蕩息子で会社に損害を与えるという大王製紙のような例だろうか。現場や社員の苦労を知らないボンボンに競争の厳しい経営トップが務まるはずがないのである。

 

 政治の世界では、過去に自民党の大幹事長金丸信氏が、首相の器として「平時の羽田、乱世の小沢、大乱世の梶山」と言ったそうだが、やはり時代に即した適任者がいるということだろう。

 

 こういう時代となると、会社の経営トップを選ぶ方も責任重大なわけだが、ステークホルダーとして昔はせいぜいメインバンクに幹部人事の事前了解を取っておけば済んだが、今は、外国人を中心とする「モノ言う株主」が増えたことで、利益(配当)拡大への圧力は強まる一方だし、商品や社員のコンプライアンスへの風当たりも強い(広告への抗議やバイトテロなど)。株主代表訴訟のリスクもある。

 また、社内でも「社外取締役の選任」や「指名委員会等設置会社の制度」など重役だけでは物事が決められなくなっている。

 

 現在のように、「貿易摩擦」「技術革新」「働き方改革」など会社を取り巻く経営環境が激変する可能性が高まる中で、必要とされるのは臨機応変に対応できる「分裂気質」タイプの経営者だろう。所与の条件下以外では何の対応もできないトップでは会社は持たない。

 

 ただ、個人的に重要だと思うのは、トップがリーダーシップを発揮するのは良いとしても、その判断が100%常に正しいとは限らない。

 明らかに考え直した方がいいと思われる案件には、堂々と反対意見を言える側近や幹部を置ける度量があるかどうかが重要ではないか。

 

 自分の考えを否定する幹部を近くに置くのは、気持ちのいいものではないが、リスク回避という点では欠かせない視点だと思う。

 

シェアトップ企業への対抗策は、真正面からの勝負を回避

湖池屋が「プレミアムポテチ」路線に走るわけ(東洋経済オンライン)

 常盤 有未 : 東洋経済 記者

 

 圧倒的なシェアを持つ商品を抱える企業に対応するには、まともに「真正面」からやりあっても通用しない。

 

 マーケティングの世界ではよく言われることだが、これを実践して業績を急回復させたストーリー「湖池屋が『プレミアムポテチ」路線に走るわけ』」が8月14日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 概要をまとめると、キリン出身のマーケッターで「生茶」などのヒット商品を手掛けた佐藤社長が、「業績低迷の理由を価格戦争に参入した結果と結論付け、素材と製法に徹底的にこだわった新商品を開発したことで、プレミアム商品として認知された」ということだ。

 

 確かに、ポテトチップと言えばスーパーなどの安売りの目玉商品として、ティッシュペーパー(5箱入り)と並んで陳列されていた記憶があるが、現在は少なくとも「湖池屋」の製品が安売りの対象になっていることはあまり見ない(例外は内容量126gといった大袋)。

 

 湖池屋の商品が変わったと感じたのは、やはり2017年発売の「KOIKEYA PRIDE POTATO」だ。じゃがいもの油揚げという点では同じなのだが、商品名をアルファベットにし、パッケージデザインもおしゃれなお菓子風に変わった。

 発売当時、すぐに購入して味見したが、味と風味にこだわりを感じた記憶がある。サイズも一人で食べきるにはちょうどいいサイズだった。

 

 湖池屋が、ポテトチップ市場で72%という圧倒的なシェアを持つカルビーに対応するには、価格での真正面からの勝負を回避し、記事にあるように「プレミアム化」という高価格路線に切り替えたことが成功要因であることは間違いない。

 

 高シェアを持つ商品に対応する価格戦略としては、「徹底的な低価格での勝負」か「高付加価値化で利益率向上」の2つしかない。

 

 湖池屋は後者で成功したいい例だろう。他ではコンビニの「セブンプレミアム」、カフェの「スターバックス」もそうだろう。

 一方、価格勝負という路線もまだ健在だ。100円ショップは完全に日常生活に組み込まれたし、ドン・キホーテのプライベートブランド「情熱価格」も話題を集めている(個人的には品質はいまいちだと感じているが)。

 

 いずれにせよ、売り上げもシェアもじり貧のシェア商品を再生させるには、先の2つの路線を徹底的に追及するしかないだろう。

 ただし、どちらが正解というものではないはずだ。日本の人口、世帯数が減少するなかで、一人暮らしの人たちが少量でも高品質の食品を選択するという見立てもあるだろうし、非正規雇用の拡大で給料・賃金の上昇も見込めないとの判断から、安売り商品を選ぶという考え方もある。

 

 ただ個人的な感想を言えば、いったん価格競争に走ると双方が徹底的に疲弊するまで続く「価格戦略」よりは、オリジナルの優位性を発揮でき、ブランド・価格も維持可能な「品質競争」の方が、中長期的な経営的という観点では優れていると思っている。

女性取締役比率30%は望ましいが、急がずとも・・・

私が見た、企業トップの女性活躍への"及び腰"(東洋経済オンライン)

坂東 眞理子 : 昭和女子大学理事長・総長

 

 世界には「30%クラブ」という女性の取締役比率を30%に増やすことを目標とする民間企業の集まりがあるようだ。

 

 813日付けの東洋経済オンラインに「私が見た、企業トップの女性活躍への"及び腰"」という、日本の30%クラブのアドバイザリーボードの一員である坂東眞理子氏の記事が掲載された。

 

 現在、日本の上場企業の取締役に占める女性の割合は4.1%なので、目標には程遠い感もあるが、英国では2010年の発足当初12.6%だったが2018年に30%を達した。

 

 ちなみに日本では2003年に政府が、あらゆる分野の政策決定に参画する地位の30%を女性にするという方針を決めたが、現状では結果が出ているとは言えない状況だろう。

 

 坂東氏は、「なぜ、なかなか女性管理職が増えないか。長時間労働、性別役割分担の根深さなど、できない理由はたくさんあげられるが、必要なのは変えるための意志である」と指摘している。

 

 これには同意できる部分もあるが、問題となるのはこの「意志」の実際に持つ意味だろう、

 というのも、30%クラブや政府の機関が女性の幹部比率を高めたいという「意志」と、肝心の女性社員で取締役などの幹部になりたいという人の「意志」の度合いにはかなり「格差」があるのではないかと、個人的には思うからだ。

 

 ちなみに私は個人的に地元の市議会の活動に関心があるので、機会があれば一般質問を傍聴しているが、議員の女性比率は約40%と高いが、議会に参加する市幹部の女性比率は4%に過ぎない。

 あまりの格差に市の担当部署に理由を聞いたのだが、「地方公務員法の要請もあり、性別に関係なく適材適所で配置しているが、これまでの事務職の職員は男性職員のほうが多いことから、部長職も男性の方が多いのが実態」という、回答があった。

 

 これは「女性の意志」というよりは「女性職員の人数」の問題ではあるが、対象者が少なければ当然、幹部登用の人数も少なくて当然で、実力不足の女性を「数合わせ」で幹部に引き上げる方が問題だろう。これは一般企業にも当てはまる部分は多いはずだ。

 

 もうひとつはまさに「女性が取締役をどれほど目指しているのか」という問題だ。

 確かに周囲を見れば、積極的にリーダーシップを取って部長、取締役に出世した人はここ10年ぐらいで急増した感はある。当然だが、仕事の実力を見てもまったく男性に引けを取らない。

 少なくとも「女性だから」という理由で出世に影響することはなくなったように見える。30%クラブの掲げる理想も理解できるが、数%に過ぎなかった女性管理職が13%にまで増えた事実はもっと評価されてもいいのではないか。

 

 さらに言えば、男性を含む育児休暇制度や託児施設の拡充など「女性の子育て管理職」への職場の理解も深まっている。13%という数字はまだ上がる可能性が高いだろう。

 

 一方で、実力が十分にありながら管理職になりたがらないという社員も、男性を中心に急速に増えているのも事実だ。ライフ・ワーク・バランスというのだろうが、仕事とプライベートを両立させるために、あえて出世を拒否する世代も少なくないのだ。

 周囲を見ても、激務とストレスで身体を壊しては意味がないと考える男性は意外に多いのである。

 

 以上を踏まえると相対的に見て、女性の管理職登用の機会が増える一方で、男性は「仕事一筋・出世こそ本望」という会社型人間が減っているので、このままでも自然と女性の幹部(取締役を含む)の比率は上昇すると個人的には考えている。

 

 坂東氏が「30%クラブの数値目標」を急ぐ気持ちはわかるが、世の中の流れを見ると「世の中は幹部登用に当たって、男女差をあまり意識しなくなりつつあり、結果として自然に女性の幹部比率は高まる」のではないだろうか。

 

 私の地元の市議会の女性比率(40%)が、市役所幹部職員(4%)の10倍もあるという事実は、市議会議員という役職が、市幹部職員よりもはるかに女性が活躍しやすい職場だということを証明していると思う。 

 

小冊子「これで雑誌が売れる!!」で書店は立ち直るか

 今週は夏休みで週刊誌は軒並み先週の合併号のため発売はない。そこで今期は週刊誌を含めた「雑誌」に関わるちょっとした話題を提供したい。

 

 日本雑誌協会は5月に小冊子「これで雑誌が売れる!!」の2019年度版を発行、一般書店向けに配布したほか、協会のWebサイトからもダウンロード可能としている(無料)。 

 

 よく言われているように雑誌の販売落ち込みは著しい。全国出版協会の日本の出版統計によると、月刊誌の販売額は1995年に1兆円を超えていたが、2017年は5000億円台と半減、週刊誌も同期間に4000億円台から1000億円台半ばまで激減している(グラフからの読み取りなので詳細な数値は不明)。

 グラフの右肩下がりの推移からは、長期低迷傾向に歯止めがかかる兆しは見られない。

 

 そこで、雑誌販売を盛り返そう、という意気込みで企画・作成されたのが今回紹介する「これで雑誌が売れる!!」である。

 

 ただこの全63ページの小冊子が狙っているのは、「雑誌の売り上げ増」というよりは正確には「書店での雑誌の売り上げ増」である。

 Amazonなどでのネット販売や電子書籍版を対象にはしていない、というか全体を通じた感想としては「どうやってネット販売から実店舗に客を呼び戻すか」がテーマになっている。

 

 ということで、内容は「売れる雑誌をどうやって作るか」ではなく、「既存の雑誌をどうやって書店で売るか」だ。

 

 構成は、メインは「売り場づくり」「事前準備」「定期購読」「ジャンル別・売り伸ばしのテクニック」の4章立てで個別書店の取り組み(131項目もある)を紹介、また個性的な取り組みで売り上げを維持している書店2店へのインタビュー記事も掲載されている。

 

 詳細は実際に読んで頂くとして、書店の取り組みで特徴的だったのは、ネット通販ではできない「実店舗ならではのアピールに取り組んでいる」ことだった。

 

 具体的には、「付録付きの雑誌は基本 1 冊は見本として常に内容が確認できるようにしています。女性誌に関しては付録を開封して実物が手に取れるように売り場に展示しています」(p9)といった、ネットでは不可能な実物を確認するという手法だ。

 

 また、「入り口から店の中心へと向かうメイン通路に女性誌棚を設置し、男性誌は壁側の棚に集中させています。これはメイン客層である女性達に、いかに店の中心に足を運んでいただけるかを考えた結果です」(p13)のように、店舗内での商品配置を工夫して、顧客の動線をコントロールするという対策を講じている店舗もあった。

 

 一方、書店独自の判断で、「特集で売れる雑誌」と「自分の店のカラーにしたい雑誌」を見分ける。自分の店のカラーにしたい雑誌(月刊誌なら 2 週間展示で 24 銘柄)は「最良の場所」から動かさない。特集が面白そうな雑誌は必ず「その隣」に置きPOPを立てる(p14)、という、オリジナルな展示を売り物にしている書店もあった。

 

 全体を通じた感想を言えば、店舗の規模とは関係なく、個性的かつ魅力的な展示、品ぞろえをしている書店は今後も生き残るように感じた。

 例えると、「特に用事はないのだけれど、何となく気になってつい入ってしまう」雰囲気のある店は、顧客が途切れず、新たな発見もあるので、気になった雑誌を買うという行為が日常活動の一部に溶け込んでいくだろう。

 

 逆に言えば、雑誌を発売日順に並べて平積みし、あとは定期購読者の来店をあてにするような書店は淘汰される可能性が高い。

 

 というのも、敵対関係にあるネット書店の代表格Amazonを例にとれば、まず品ぞろえでは到底勝ち目がないうえ、定価販売の書店に対して、Amazonは2冊以上なら4%、3冊以上なら8%、10冊なら10%という「まとめ買い」割引も実施している。

 加えて、プライム会員なら配送も無料となれば、買いたい本が決まっている顧客層では最初から勝負にすらならないのは明らかだ。

 

 「これで雑誌が売れる!!」は、書店向けに有用なアドバイスを多数紹介していると思うが、書店の将来像を考えると、仕入れる雑誌自体には何の区別はないのだから、あとは「書店に行くという行為を生活の流れのなかに組み込めるか」が生き残りの決め手だと思う。

 

 これは素人の発想に過ぎないのだが、時代は映画や音楽などを中心に「サブスクリプション(定額制」」の流れ。書店も店内に椅子を用意した専用コーナーを設けて、そこに配置した雑誌は「月額制で読み放題」みたいな試みもアリかと思うのだが。

 確かにdマガジンなどが、格安で数十種類の雑誌を読み放題にしている電子版のサブスクリプションビジネスを展開、好評を集めているが、雑誌側の都合もあって、すべての記事が読める訳ではない。

 

 個人的に、専用コーナーで雑誌を読んで気になったテーマの「単行本や専門書をついでに買ってくれるかも」というのは、甘い期待だろうか。

「晩婚」「金銭教育」の主張を理解できないではないが・・・

ジム・ロジャーズ「晩婚の方がお金持ちになる」(東洋経済オンライン)

花輪 陽子 : ファイナンシャルプランナー

 

 シンガポール在住の著名投資家ジム・ロジャース氏のインタビュー記事「ジム・ロジャーズ『晩婚の方がお金持ちになる』」が8月11日付けの東洋経済オンラインに掲載された。
とは言っても7月20日に出版された著作「日本への警告」の宣伝が主たる目的と思われるが。まあこれはよくあるパターンなので特に言及しない。
 
 記事のキモは2つ。「晩婚」と「子供への金銭教育」のススメだ。
 
 まず晩婚について。ご本人は「20代の最初の結婚は大失敗で自殺を考えた」とまで述べている。つまり「何も知らない(新卒の)23歳が結婚するよりは、世の中の仕組みなど物事がわかってくる年齢まで結婚を待つことが重要」だと解説している。
 
 本人も初めて子供を授かったのは60歳を過ぎてからだそうで、実体験によるものだが、さすがに60歳を超えての子供は子育てという面でも苦労が少なくないと思う。
ただ、厚生労働省の平成30年版「我が国の人口動態」によれば、平均婚姻年齢の年次推移 1950年には夫27.0歳、妻24.7歳だったのが、2016年は夫31.1歳、妻29.4歳と、ともに4歳以上上がっている。
 「早く結婚して」「子供をたくさん産んで」「老後は孫に囲まれて幸せに暮らす」というのはもはや「平成」以前「昭和」の時代の話なのだ。
 
 女性の社会進出が進み、社内での地位向上によって、仕事や社会の仕組みを理解する機会が増えたことも、女性が結婚を急がず、冷静に男性を見極める傾向を強めたはずだ。
 企業の女性採用も過去の「一般職」は激減、男性と同じ「総合職」での採用が当たり前になった。これは全国に過去600校近く存在し、一般職に学生を大量に「供給」してきた短期大学が、300校台にまで減少、志望学生の減少に疲弊し、青山学院、立教女学院といった有名短大が募集停止となったことからも明らかだ。
 
 もはや、男性も女性も大卒以上の学歴を持つ社会人は、ある程度の社会経験(恋愛を含む)を積んで、地震と相手の将来を見極めたうえで価値観の一致する伴侶を選ぶというのが一般的になっている。
 最近では政治家「小泉進次郎」氏と「滝川クリステル」さんの成婚もこのパターンだろう。
 
 若いうちの勢いで結婚、子供を得ても幸せな生活を確保できるという家庭も少なくはないだろうが、どちらかと言えば、地方で地元の幼なじみ同士が「できちゃった婚」でというパターンが多いようなイメージあるし、結婚そのものを人生の大きなイベントと考えていない可能性もあるので、離婚や再婚の傾向も大きい可能性はある。
 結婚自体は、男女の自由だが離婚による子供への影響は無視できないはずだ。
 
 次の論点は「金銭教育」。
 子供のころからの金融教育の重要性はこれは、ジム・ロジャースに言われるまでもなく、日本でも以前から言われてきたことである。
 記事では最後の部分に「まだまだ日本ではお金のことを話すのはハシタナイという意識がありますが」というインタビュアーの花輪陽子氏のコメントが掲載されているが、個人的にはこの風潮はかなり変わってきているのではないかと感じている。
 
 例えば、日本銀行が事務局を務める「金融広報中央委員会」では「学校における金融教育の年齢別目標」を引き合いに出せば、小学校二年生の道徳の授業向けに「お金は大切に使おう」という金融教育プログラムを提供している。
 また、2018年度には小学校、中学校、高校向けに「金融公開授業」を全国24か所で開催している。 
 日本の子供への金融教育制度が世界に比べて遅れを取っている訳ではないのだ
 
 問題の根本的な原因は、国民が自身の社会福祉や年金がどのような仕組みで運用されているのかにあまり関心がないため、「老後は年金で何とかなるだろう」という「お上頼り」の考え方をする人がいまだに少なくないことだろう。つまり自分で「金融の仕組みを理解しなくては」というモチベーションが働かないのだ。
 この辺の事情は、7月23日のDIAMOND online「『投資教育』以前に日本人に必要不可欠な金融リテラシーとは何か」と、これに関連した私のブログ「日本人に必要なのは『投資教育よりも税と社会保障への理解」でも解説している。

 日本は、年金や介護保険などの社会保険料がサラリーマンでは給料天引きになっているので、直接的に負担を感じることが少ないと言われている。確定申告で過払いの税金を取り戻す人は増えているが、収めた税金や社会保険料がどのように使われ、運用されているかまでを知っている人はほとんどいないだろう。
 
 ただ最近では、「老後資金2000万円不足」問題で、やや将来の資金計画を改めて見直す人が増えたのも事実。
 金融庁の提出したレポートへの世間の評価が、本来の趣旨とはズレてはいる側面はあるのだが、これを契機に自分の老後のために「金融の知識を勉強すべき」という考え方が広まれば「結果オーライ」ということで、とりあえず最低限の目的は果たしたと言えると思う。
 退職に追い込まれた金融庁の担当局長はかわいそうだが。

 

 

資産価値ランキング100、JR中央線はたった1駅!

無料住宅情報誌「SUUMO」2019.8.6号

 

 ここ数年、不動産購入の際の専門家たちのアドバイスとして「将来の資産価値が上がる、もしくは下落しにくい物件」を勧める傾向が強いと感じている。

 

 近い将来を見ても、人口・世帯数の減少、新築物件の供給過多、生産緑地法の影響(延長はされたが)、など不動産価格の下落要因には事欠かないのが実情。

 また、夫婦共稼ぎが一般化し、通勤の利便性重視から「都心」かつ「駅近」の物件に人気が集中、「郊外」の物件は敬遠されているようだ。特に今年に入ってからは郊外物件の供給減少は著しい。少しでも資産価値を維持したい気持ちは理解できる。

 

 ただ価格的には最高値圏にあるマンション価格を受けて、新規マンションの供給は手控えられており、手元にある無料の住宅情報誌「SUUMO新築マンション」の2019年8月6日号の東京市部・神奈川北西版の最新号では、紹介物件数は全部で12件しかないうえ、そのうち半分の6物件はすでに竣工済。これから販売予定とされる竣工前物件は6つしかない。物件の選択肢は極めて狭まっている印象だ。

 

 こうしたなか、将来の資産価値を見る上で参考にするための「資産価値ランキング100」が、特集記事として掲載された。

 

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SUUMO最新号

 確かに購入予定者にとっては関心の高い要因だし、物件価格も高値圏にあるのでタイミングのいい記事だとは思う。ランク上位を見ると、原宿(1位)、半蔵門(4位)、麻布十番(6位)といった土地の価格が超高いブランドエリアが当然ながら上位に出てくる。豊洲(19位)、勝どき(21位)など湾岸地区も人気エリアだ。

 

 とまあ、ここまでは予想の範囲内なのだが、ランキングを100位まで見て驚いたのは、何とあの東京市部で最も人気のあるJR中央線(快速)が、阿佐ヶ谷の1駅のみ、しかも92位にしかランクインしていないのである。

 

 ちなみに中央線に並行して走る各駅停車の総武線は、市ヶ谷(11位)、飯田橋(24位)などが入っているが、これらの駅は山手線の内側の超ブランドエリア。中央線でもマンションの供給が十分にあり、人気もある中野から立川までの主要区間の駅がひとつしか入っていない事実には驚いた。

 

 さらに驚いたのは、赤土小学校前(30位)、小村井(45位)、といった23区にも関わらず、おそらく地元以外のほとんどの人が見たことも、聞いたこともないような駅がランクインしていること。

 

 ちなみに小村井(おむらいと読む)は、東武鉄道の亀戸線という支線の中間駅で路線距離は3.4km、駅は始点終点を含めて5つしかない。実は私は20年以上前に小村井近くの賃貸住宅に住んできたことがあるのだが、当時は良くも悪くもローカルな商店街というイメージしかない。都心3区の人気過熱の余波が、こういったマイナー路線にまで波及したということだろうか。

 

 ちなみに上位100ランキングに中央線が1駅しか入っていないことを先に書いたが、特集記事では、その後のページで「東京市部」版として上位20駅のランキングも掲載しており、こちらには「三鷹」「吉祥寺」などJR中央線が6駅入っていることは補足しておきたい。

 

 

 

人気企業ランキング、専門子会社の人気は望ましいこと

就活後半に選んだ「就職人気企業ランキング」(東洋経済オンライン)

宇都宮 徹 : 東洋経済 記者

 

 2020年の大卒、院卒予定者の「就活後半に学生に聞いた人気企業ランキング」が8月9日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 ランキングの特徴は2つあって、ひとつは回答者が1万人以上という大規模なアンケートで、上位300社までカバーしていること。もうひとつが「後半」というキーワードで、学生が業界研究や面接などを経て、「前半」より現実的に企業を見ている、という点にある。

 

 記事のサブタイトルには「総合商社人気強く金融離れ鮮明」とあるが、この表現では他社の人気ランキング傾向分析や、当ランキングの「前半編」とあまり変化はなく、面白みに欠けると思うので、ここは私独自の視点でランキングを分析してみた。あくまで私的な感想なので参考に留めてほしい。

 

 第一印象は航空、鉄道など「運輸」が上位にランクされていること。
 具体的には全日空(1位)、JR東日本(3位)、日本航空(6位)とベスト10に3社もランクインしている。しかも全日空は「前半」に続いて1位を維持、JR東日本は19位から3位にアップしている。ちなみに格安航空会社(LCC)スカイマークは24位に、JR東海も28位に登場する。

 これはインバウンド需要など海外からの観光客が猛烈な勢いで増加していることを背景に、学生が航空需要の拡大で業績が伸びることを期待しているのだと思うが、個人的には、運輸という「社会インフラ」を担っているという事業の将来の安定性へのニーズもあると思う。
 日本航空のように経営破綻で大規模リストラが行われることはあっても、空運という「移動手段」がなくなることはない。事業として消滅することはありえないのだ。これは鉄道にも言える。

 もうひとつ気になった特徴は、親会社よりも専門性のある子会社(関連会社)の人気が結構高いこと。
 例えば、21位のソニーミュージックグループは、親会社のソニー(43位)よりずっと順位は高い。
 NTTグループでも、主幹企業のNTT東日本の92位に対して、NTTデータは34位、NTTドコモは69位と上位にある。
 その他では、ジェイアール東日本企画(28位)、ANAエアポートサービス(41位)、三菱食品(44位)なども目立つ。

 いずれも特定の事業分野に特化した専門性の高い子会社だが、大企業の子会社(関連会社)というのがなかなか賢い選択だと思う。

 独立系の専門分野に特化した企業だと、顧客層や資金面などの経営基盤に不安が残るケースもあるが、大企業の関連会社であれば「相対的」に、社会的な信用度は高い。
 
 過去の人気企業ランキングでは、学生の大企業志向もあって、親会社の「知名度」に比例して人気化する傾向が強かったが、今の学生は自分のやりたい仕事を明確に定めて、その業務を専門的に手掛ける会社を目指すという「現実志向」が増えているように見える。
 これは学生にとっても、採用する企業にとっても望ましいことだと思う。
 
 終身雇用、年功序列などが崩れつつあるなかで、専門分野で仕事を体験し、「会社」でなく「業界」で通用するスキルを磨くことは、将来のキャリアアップなどいい意味での人材の流動化にもつながる。

 学生が、自分なりの価値基準をしっかり持って、業界分析、会社訪問を重ねて、志望企業を選んでいるという事実を、2021年以降の就職予定学生も参考にしてほしい。
 

 

会社は社員を守るとは限らない。障がい者雇用の重い現実

パワハラですべてを奪われた56歳男性の絶望(東洋経済オンライン)

藤田 和恵 : ジャーナリスト

 

 障がい者雇用制度の拡充(精神障碍者を対象に含める)など政府が、対策を進めているのは事実だが、現場となる会社組織ではまだ「差別」が続いていることを明らかにする記事「パワハラですべてを奪われた56歳男性の絶望」が8月8日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 記事の前半は、主人公である障碍者(男性)の友人で長年寄り添ってきた女性の「友人が昨年12月、貧困とパワハラの果てに脳出血を起こして重度の障害者になってしまいました」という言葉で始まる。


 本人も「理不尽だ。労働組合なんて、組合費だけ取って、何にもしてくれない」と述べているが、ことの始まりは2005年ころの関連子会社への出向で、業務は変わらないのに年収は50万円ダウン、その後脳出血を発病し1年間の休職、復職後は庶務部門に転属され、年収は200万円に落ち込み、2度目の脳出血で実家近くの施設に転院した。

 

 この間の会社側の対応は記事の詳細に書かれているが、事実だとすれば「非情」という言葉しか思いつかない。


 個人的な感想を言えば、会社側は「役に立たない社員は不要、何とかして辞めさせたいが最近は世間の目もあるので、自発的かつ合法的に解雇したい」という姿勢がありありである。
 本人は、入院中の極めて理不尽な会社の要求や上司の不穏当な発言などをメモとして残しているようなので、管轄の労働基準監督署に持ち込めば、十分に対応してくれる案件にも思える。

 

 ただ、この記事を読んで「何ともやり切れない。何とか社会福祉で対応してほしい」と感じたのは事実だが、同時に「しょせん会社とって従業員とはその程度のモノ」だという認識も改めて持った。

 

 労災や休業規定などの法整備が拡充されても、それを運用するのは結局、会社組織に属する人間なのである。先の障がい者雇用促進法の概要を引き合いに出すと、障碍者雇用率(民間企業で2.2%)とされている雇用制度義務を達成できない場合、事業主は一人当たり月額5万円の障害者雇用納付金を収める義務があるのだが、現実には「この納付金を収めても障碍者を雇用したくない」と考える経営者が少なくないのである。

 

 こう考える事業主は、納付金がたとえ10倍に引き上げられても雇用を進めないだろう。負担額以上に儲ければいいと考えるからだ

 「従業員を単なるコスト」という利益最優先の考え方が変化し、「障碍者雇用を民間企業を含めた社会全体でサポートする」という意識が定着しないと、この記事にあるような不幸な事例は後を絶たないと思う。

 

 記事の最後には、友人が先の参院選で「れいわ新選組」の演説会に足を運んだ際に、「(演説後)ほとんどの人は、微動だにしない(障がい者候補者の)舩後さんをスルーして、山本さん(山本太郎代表)や、健常者であるほかの候補者のところに集まっていきました。中には、舩後さんの足元にぶつかりながら通り過ぎていく人もいて」というエピソードを紹介している。

 おそらくぶつかった人たちに悪意はないのだろうが、障碍者への配慮が足りないのは間違いない。
 結局のところ、世間一般人の多くは、障碍者の苦しさを「感覚」で理解しているつもりだけで、実際の「行動」が伴っていないのである。これは自分自身への自戒も含めてだが。

 

 

ジョブ型正社員は日本の雇用制度を変えるか

専業主婦がいないと回らない日本の「構造問題」(東洋経済オンライン)

中野 円佳 : ジャーナリスト

 専業主婦を前提とした現在の日本の雇用制度の変革の必要性を訴える対談記事「専業主婦がいないと回らない日本の『構造問題』」が8月7日付けの東洋経済オンラインに掲載された。
 
 対談しているのは、東京大学大学院教育学研究科の本田由紀教授と、こちらも東大卒、日経記者を経て現在ジャーナリストの中野円佳氏。高い教養を持たれるであろう女性2人なので、さぞかし大上段に構えて、「現在の男性中心の職場環境はなっていない。女性の地位向上を要求する」といった過激なアピールかと想像したのだが、これは私の誤った先入観だった。ここは反省。
 
 記事は前半では、「新卒一括採用」「終身雇用」「父親の収入で子供を教育」という戦後の循環モデルが、バブル崩壊で破綻したことを説明している。
 ちなみにこの構図については、記事の1ページ目では本田氏の著書『社会を結びなおす―教育・仕事・家族の連携へ』から引用されたイラストが分かりやすく、「モデル破綻」のイメージが掴みやすい。

 一方、中野氏も近著『なぜ共働きも専業もしんどいのか~主婦がいないと回らない構造』でイラストを使った解説している(著書へのリンクで記事にはない)のだが、こちらは「パッと見て全体像がつかみにくい」というか問題点が読者視点で整理されていない印象を受けた。分析は「深い」と思うのだが、「見せ方」には工夫の余地があると思う。記者出身なので「文章」は得意でも「図解」は苦手なのだろうか。
 
 後半部分は、女性の就業の現状を念頭に「ジョブ型雇用、つまり、ある特定の業務や、勤務場所、時間などを固定して働ける正社員」の拡大がメインテーマだ。
 これまでの非正規雇は有期雇用だったが、ジョブ型は無期雇用で正社員なので、雇用も安定、賃金も専門性に見合った水準が必要だとしている。
 
 個人的な感想を言えば、企業側は大企業が今年相次いで「終身雇用」を廃止する方向で、一方で厚労省は今年3月の「モデル就業規則」改正で、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」(第14章副業・兼業の第68条)いう「原則許容」に大きく舵を切った。

 雇用制度全体の流れとしては、「業務として必要な時に、必要な人材を採用する」という「ジョブ型」の雇用は今後さらに進展すると思う。
 当然ながら社内にない専門性を重視するので給与は「正社員以上」となる可能性も十分あるし、そうなって当然だろう。いわゆる「手に職を持つホワイトカラーのプロ職人」だ。
 
 問題は記事の最後にもあるが、家事や子育て、介護などの分野では女性の負担がいまだに大きく、仕事の「専門性」を伸ばし、生かせる環境にある人が少ないことだろう。

 個人的には、「在宅勤務」「サテライトオフィス」などの制度を通じて、通勤時間をかけて出社しなくても、家事など家庭の事情に合わせて自分の裁量で仕事を配分できることが解決の一つの方法だと思う。
 
 専門性を持ったプロなのだから「仕事の結果」で評価されればいいのであり、時間の使い方などは本人に任されていいはずだ。具体的には「1週間後の締め切りで、この業務の仕様書やマニュアルを作成する」といった業務などが向いていると思う。
 
 少子高齢化が今後一段と進む中で、労働力人口の減少は必至。スキルを持った女性(特に専業主婦)の潜在力を生かさない手はないだろう。

都内の土地持ちだけが「リア充」ではない

日本人よ、真の「リア充」とは土地持ちの階級だ(東洋経済オンライン)

田宮 寛之 : 東洋経済 記者

 

 「リア充」というキーワードが一般化して久しいが、「異性にモテるイケメン」「巨額の年収」「外資エリート」といったイメージを覆す意見を持つ作家・古谷経衡氏のインタビュー記事「日本人よ、真の『リア充』とは土地持ちの階級だ」が8月6日付けの東洋経済オンラインに掲載された。

 

 詳細は記事を読んでいただくとして、感想を言えば「日本のリア充の隠されていた一面を明らかにしたのは事実だが、ちょっとした疑問と同意できる内容が混在している記事」だった。

 

 記事の前半の趣旨は簡単に言えば、「真のリア充は大都市圏の土地持ちとその子孫」という主張。
確かに土地持ち特に都心3区や6区で50坪以上の土地を保有する人々は、記事にあるように億円単位の資産を持つわけで、マンションを建てて賃貸収入を得ることで収入面では一生安泰だろう。


 ただ記事にある「9割以上の人が一円も相続税を払っていない」という点についてはやや疑問もある。
 というのも、相続税の基礎控除額は、2015年から従来の「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」から、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と、大きく引き下げられており、都内にある程度の一戸建てを所有していればまず相続税からは逃れられないはずだからだ。私の知らない相続税対策(生前贈与など)が存在するのかもしれないが。

 

 一方、記事の後半部分では「都会で土地を所有し暮らすにはどうすれば良いか」について触れている。


 具体的には、東京に通勤通学では利便性が変わらないのに「イメージが悪い」という理由で不動産価格が安い「埼玉(川口、草加、八潮、三郷)と千葉(松戸)の5市を「住宅の取得しやすい扇状地」と命名している。

 確かに、人気のある武蔵野市など東京西部に比べて、都心への利便性の割には先の5市の物件価格は割安だと思うし、住環境もさほど悪くはないだろう(民度はやや気になるが)。

 

 経済評論家の森永卓郎氏が「年金削減時代に備え、月13万円生活に切り替えろ」などで最近言っているように、都心部から30~50kmほどの都会と田舎の中間地である「とかいなか」(都会と田舎の合成語)がこれに該当するだろう。
 同氏によれば家賃は3分の1、スーパーの物価も劇的に下がるらしい。収入が少ない家庭には生活条件は悪くない。

 話を戻すと、記事では「土地は第四世代や第五世代まで相続されるので固着化した世襲(筆者注:リア充な生活基盤)は何百年も続く可能性がある、と結論付けている。

 

 まあ莫大な不動産を相続し続ける資産家一族には当てはまるだろうが、そもそもそのような「一般人の視界にも入らないようなレベルのリア充」を、一般的な収入の自分の人生と比較すること自体が、将来無意味になるのではないかと個人的には思っている。

 

 記事にもあるが、手持ちの資産で買える範囲の物件を「とかいなか」で買って、家族とのんびりした生活を暮らすことも「リア充」の一つの在り方として認知されるのではないか。

 通勤に関しても最近は「在宅勤務」「サテライトオフィス」制度が充実してきているし、60歳で引退しても仮に90歳まで生きたら、残りの人生は30年もある。息苦しい都心よりも、のびのびとした郊外での老後を選択する人もいるだろう。もちろん病院、商業店舗、介護などの施設が整備されていることが条件だが。

  

 今後、さらに収入格差が広がり、階級が固定化していく可能性が高いとはいえ、絶対数が増える「平均所得以下」の彼らをターゲットにした商品やサービスは拡充していくはずだ。大幅な増加が見込まれる移民(正確には技能実習制度)もその対象に含まれるだろう。

 将来は「昔、リア充なんて言葉があったね」という時代が来るかもしれない。